【UXデザイナーの仕事内容を解説】なり方や必要なスキル、向いている人とは?1日の流れからやりがい、平均年収まで徹底紹介
はじめに
アプリやWebサイトでの体験をより良くする仕事、UXデザイナー。
近年DX化が進み、需要が急増している職種の1つですつです。
この記事ではそんなUXデザイナーのの職種研究をしていきます。
職種研究のやり方は以下の記事を参考にしてください。
UXデザイナーとは
UXデザイナーは自社のサービスやプロダクトがどのようにお客さまに使われるか、どのように感じるかの顧客体験に責任を持つ仕事です。
UXはUser Experienceの略で「顧客体験」ですね。よく通販サイト等では「3クリック以内に商品が購入できないとユーザーが離脱する」と言われます。
サイト内でユーザーがどのように動くのか、どの操作でどのように感じるのかを考えて作り上げていくのがUXデザイナーの仕事と言えるでしょう。
UXデザイナーは何をする?
UXデザイナーの仕事は非常に幅が広く多岐にわたります。
- 市場調査・カスタマージャーニーの作成
- 要件定義・ワイヤーフレーム・プロトタイプ作成
- デザインのリード
- ユーザー体験の検証
どのようなサービスがなぜユーザーに受け入れられているのかを調査するのが市場調査です。
常に世界中のUXデザイナーが顧客の心地よい使い勝手を追及しています。
カスタマージャーニーはどのようなユーザーの要求に基づいてこのサービスが使われるのか、を深堀するものです。
サービスを作り出す前にユーザーがこのサービスを使う必然性を考えていきます。
次は要件定義です。市場調査やカスタマージャーニーを基に、プロダクトに必要な機能を考えていかなければなりません。
ワイヤーフレームとはサービスの骨組みです。要件定義を実装するとどうなるか、を考えていきます。
どのボタンを押すとどの画面に遷移するか、どのページで法律的な認証やセキュリティが必要になるか等を考えて作成するので時間がかかる作業です。
フレームができるとプロトタイプという試作を作って実際使い心地がどうか、確かめながら修正を加えていきます。
ここまでできると具体的なデザインを深めていくフェーズです。
デザイナーとともにプロダクトの世界観を練り上げる作業はモノづくりそのものですね。
プロダクトが出来上がったら実際のユーザーの動きを確認します。
どのページでユーザーが困っているのか、よりよくするためにはデザインをどう変えれればいいのか等改善策を提示し続けなくてはなりません。
このようにUXデザイナーの仕事は多岐にわたるのです。
UXデザイナーのやりがい
ではUXデザイナーはどのようなやりがいをもって幅広い仕事をしているのでしょうか。
直接ユーザーの喜びに繋がる
優れたUXデザインができたサイトはユーザーから圧倒的に支持されます。
ユーザーが増加したり滞在時間が長くなったりする等目に見えて成果が出てわかりやすいです。
アプリのレビューサイトに賞賛の言葉がでると嬉しいですよね。
ユーザーの喜び自体がUXデザイナーの喜びとなります。
事業の成否のカギを握る
事業においてUXデザインの大切さというのが改めて注目されています。
ある銀行ではUXデザイナーを銀行で採用し自社のアプリの顧客体験を改善するということを行いました。
評判もかなりよく先進的な取り組みをする銀行として評価も上がっています。
このように仕事の重要性が高まることがUXデザイナーの誇りにもなるでしょう。
自由度の高い働き方ができる
デザイナーは割とどこでもいつでも仕事のできる職種です。
PCがあればどこでも仕事ができますので家族が体調を崩したときに在宅で仕事をすることもできます。
気分を変えたいと思えばワーケーションで場所を変えることもできるでしょう。深夜まで集中して朝まで仕事をすることもあるかもしれません。
誰かに言われてやるのではなく、成果を出すために自分なりの工夫をして仕事ができることはやりがいに繋がります。
UXデザイナーの苦労
注目されるUXデザイナーですが苦労も多い職種でもあります。どのような苦労があるのか見ていきましょう。
必要な知識が幅広い
UXデザイナーが求められる知識は非常に幅広いです。
流行りや先端のUXのトレンドを把握する必要もあります。
エンジニアリングの知識がないことには自分が描いたデザインが実現できるかどうかもわからないですよね。
デザインに関する知識も必要ですしユーザーの行動を解析するには数字にも強くなければなりません。
幅広い知識が必要とされるのがUXデザイナーの特徴でもあり苦労でもあります。
方針が二転三転する
フレームワークを作成しプロトタイプを作成しようとしているときに、急にプロダクトの方針が変わることがあります。
プロダクトの方針が変わると今までやってきたことを1から作り直さないといけないこともあり、失望するでしょう。
プロダクトマネージャーの気質次第ではなかなか案件が進捗せずに苦労することがあります。
納期が厳しくなりがち
いつまでにこのアプリのサービスを開始したい、と決まっていると厳しい納期に対応しないといけない時があります。
決められた時間の中で最大限パフォーマンスを発揮するには残業等はもちろん発生しますし、かなり詰めて作業をする場合もあるでしょう。
忙しい時期とそうでない時期が明確に異なる仕事である、と認識しておいた方がよさそうです。
UXデザイナーの平均年収
UXデザイナーの平均年収は500~600万円です。
比較的新しい職種でもありますので年収幅は大きいと言えます。
実力のあるフリーランスの方は週3勤務で月100万円、という人もいるような職種です。
最初はあまり高くないのかもしれませんが実力をつけると高い給料で自由度高く仕事ができる職種であると言えるでしょう。
UXデザイナーの1日の流れ
UXデザイナーは忙しい時とそうでない時の差が激しい職種です。
ここでは一般的な1日の流れを見ていきます。
まず出社は割とゆっくりめです。デザイナーは夜型の方が多いためゆっくり業務を始めていくことが多いですね。
まずはその日の開発ミーティングをエンジニアと一緒に行います。
どんなものを作ろうとしているか、その進捗を確認していくことで後から仕事のやり直しを防ぐことが重要ですね。
次に解析士やデータサイエンティストとの打ち合わせです。
ユーザーがプロダクトのどの部分を不満に感じているのかを確認し改善点を特定する等をしていきます。
午後は一人で集中してプロトタイプを作っていくもくもくタイムに時間を充てることが多いでしょう。
ひとりで黙々と仕事をするのでもくもくタイムですね。
夜はエンジニアリングの勉強会に参加することも多くあるでしょう。
フリーランスの方は半分勉強、半分顧客探しなのですが、エンジニアやUXデザイナーはこのようなMeetupイベントが多く行われています。
有望なベンチャーの採用イベントというような意味合いもありますので積極的に参加しましょう。
どんな人が向いている?
UXデザイナーに向いている人はどのような特性を持った人でしょうか。自身の自己分析と照らし合わせてみてください。
知的好奇心が旺盛
世の中のトレンドや流行っているものを調べて面白いと思える人は向いているでしょう。
技術の進化が早くすぐに新しいプロダクトが出てきます。
絶えず新しい情報を取り入れ活用していく姿勢が必要な職種です。
コミュニケーションが得意
エンジニアやデザイナー、プロダクトマネージャー等多くの人と関わりを持つのがUXデザイナーの特徴でもあります。
もくもくと作業だけしていたい、と考えていると仕事を進められずに苦労することが多いでしょう。
人とのコミュニケーションの中で共に一つのプロダクトを作ります。
チームで仕事を進めるためのコミュニケーションは欠かせません。
責任感がある
UXデザイナー自体がまだ新しい職種です。だからこそ責任感をもってやりきることが重要になります。
職種自体の信頼感が低いからこそ、自身の行動や成果で信頼を勝ち取る必要があるでしょう。
UXデザイナーで求められるスキル・資格・マインド
UXデザイナーは幅広い知識やスキルが必要という話をしてきました。
では具体的にはどのようなスキルや資格・マインドが必要となるのかを見ていきましょう。
スキル
UXデザイナーに求められるスキルは以下の通りです。
- エンジニアリングへの理解
- 最新トレンドの把握
- 数字を読む力
UXデザイナーはアプリやウェブサービスを作ることが仕事ですよね。
どのようなデザインをどのような技術で成り立たせるか、エンジニアリングが理解できていれば仕事がスムーズになるでしょう。
日々エンジニアとのコミュニケーションが多くありますのでエンジニアリングを理解することが重要です。
次に最新トレンドの把握について見ていきましょう。
新技術が次々と出てくるITサービスにおいては新しい技術によって可能なデザインも幅が広がりますね。
自分の描きたい世界観を実現するためにできることの引き出しを増やしておきましょう。
最後は数字を読む力です。アプリやサイトを解析するとユーザーが頻繁に使う機能やそうでない機能が分かります。
数字の読み方によって自社のサービスのどこに課題があるか、の認識が変わってきますよね。
数字をいかに読むかがUXデザイナーに求められる力の一つです。
資格
この資格がないとUXデザイナーになれない、という資格はありません。
取得しておくと役に立つ資格は以下の通りですので参考にしてみてください。
- アドビ認定プロフェッショナル
- ウェブデザイン技能検定
- 人間中心設計(HCD)専門家資格認定制度
- ウェブ解析士
アドビ認定プロフェッショナルはアドビというウェブデザイン等のためのソフトウェアを使いこなせることを証明する資格です。
イラストレーターやフォトショップ等、ウェブデザインをする方がよく使うソフトウェアですので知っておいて損はありません。
ウェブデザイン技能検定はウェブサイトの制作やインターネットで何かを作る際の基礎を学ぶものです。
知っておくべき基礎知識が多くありますのでウェブ関連の勉強をしたことない人が最初に取り組むにはちょうどいい試験でしょう。
人間中心設計(HCD)専門家資格認定制度は新しい試験でNPO団体が運営しているものです。
インターネットの発展にユーザーの体感価値が重要と考えた有志が立ち上げたものでUXデザイナー勉強会のようなことを行っています。
仲間をつくりたい、UXについて理解を深めたい人はこちらの資格やNPOとの繋がりが役に立つでしょう。
最後はウェブ解析士です。
自分の作ったプロダクトをよりよくするための示唆を得るため、サイトの解析を行うことができるようになります。
自分自身が解析をしなくともその考え方を知っておくことが重要です。
マインド
UXデザイナーで活躍する人はこの職種を本当に好きでやっている人だと思います。
ものづくりが楽しい、仲間と1つのものを作り上げる達成感が好き、とこの職種のやりがいを楽しめる人がUXデザイナーとして活躍するでしょう。
正直エンジニアリングの細かいことはエンジニア以上にはわかりません。
サイト解析も解析専門の人間には勝てないでしょう。
それでもユーザーの気持ちを1番に考えているのはUXデザイナーであるとプライドを持ち意見発信をしていくことが重要です。
UXデザイナーのキャリアパスは?
幅広いスキルや知識が必要なUXデザイナーですが、どのようにUXデザイナーとなるのでしょうか。
またなった後にはどのようにキャリアを描いていくのかもわかりづらいですね。UXデザイナーのキャリアパスを見ていきましょう。
UXデザイナーになるには?
UXデザイナーになるには特に学歴は関係ありません。
現状ではWebデザイナーからステップアップでなる方が多いようです。
Webサイトがどのようにできているのかを理解するとエンジニアリングの知識もつきますしデザインの知識もつくためでしょう。
WebデザイナーはWebサイト制作の会社や大手のコンサルティングファームの関連会社になっている場合があります。
UXデザイナーが面白そうだなと思う人はこのあたりの会社の採用情報を調べてみてください。
UXデザイナーのキャリアパス
次にUXデザイナーになった後にどのようなキャリアがあるかを見ていきましょう。
UXデザイナーとしてフリーランスに
UXデザイナーはフリーで活動する人が多くいます。
まだまだ世の中にUXデザイナーが足りておらずスキルがあればいくらでも仕事を獲得できる状況である、と言えるでしょう。
UXデザイナーとして実力をつけフリーとなって高い年収と自由な生き方を獲得する、という人もいます。
プロダクトマネージャーとなる
UXデザイナーはプロダクトを作ることが主な仕事ですが、プロダクトマネージャーになりプロダクトの採算や収益も考えるようになる人もいます。
良いものを作ったとしても必ず成功するわけではありません。
プロダクトのマーケティング戦略や採算を考え事業自体の成功を導くような立場に変わる人もいます。
UXデザイナーのコンサルタントになる
コンサルタントとしてより多くの事例に関わることで自身の価値を高めることにもつながるでしょう。
UXデザイン専門のコンサルティング企業も最近では増えてきました。
そのような企業に所属しUXデザインコンサルタントとして活躍をすることで様々な企業のUX案件に携わることができるのです。
自分でサービスを作り起業する
最後は自分でプロダクトを作って会社も作り事業を創るというものです。
サービスやプロダクトは自分で作れますから、コストかけずに世の中に自分たちのプロダクトを送り出すことができますね。
UXデザイナーの最新動向
最新のUXデザイナーの置かれた環境をお伝えしていきます。
益々需要が増すUXデザイナー
UXデザイナーは市場でニーズがどんどん高まっています。
事業成功のカギを握るのは優れたUXであると言われ重要度が増しているのです。
幅広い知識を求められるUXデザイナーは簡単になれる職種ではありませんが、努力してスキルを習得すれば活躍の場は広く拓けるでしょう。
MBAよりMFAの時代
最近はMFA(Master of Fine Arts)というデザインやアートの修士が注目されています。
少し前はコンサルや外資系投資銀行で働く人を多く輩出する経営学修士(MBA:Master of Business Administration)が注目されていました。
しかし有名な起業家がMBAを取得していないこともあってMBAの価値が見直されています。
Airbnbという民泊サービスを作ったのがアート専攻出身の経営者でもあり、改めてデザインやアートの力が脚光を浴びることとなりました。
今後はデザインやアートを学ぶことの重要性が高まると考える人が多くいます。
キャリアの幅が広がる
最近では様々な事業会社でUXデザイナーを採用する動きが出ています。
UXデザイナーはコンサル会社や一部のウェブサービスの会社にしか所属しない職種でした。
しかし、銀行のような固いイメージのある会社でもデザイナーを採用し自社のプロダクトを見直す動きが出ています。
今後はUXデザイナーが当たり前にどの会社にもいる、という時代がくるでしょう。
UXデザイナー志望者におすすめの入門書
UXデザイナーを目指す方におすすめの本を紹介していきます。
UXデザインの教科書
こちらはUXデザイナーとは何か、何をする人なのかをわかりやすくまとめてくれています。
UXデザイナーを志望する方は必須の一冊と言っても過言ではないでしょう。
「ついやってしまう」体験のつくりかた 人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ
UXそのものの理解をより深めたい、という方には参考になるでしょう。
UXデザイナーは心地よい体験づくりをします。
人間が本能的に使いやすいものを求めていくのですが、その面白さを解説してくれている本です。
イノベーション・スキルセット~世界が求めるBTC型人材とその手引き
本気で世の中に面白いプロダクトを送り出したい、と考えている方には面白い本かと思います。
UXデザイナーが新しいプロダクトを生み出すには、というコンセプトの少し難しめの本です。
ビジネスで成功したい、そのためにUXに興味があるというビジネスに興味関心のウエイトの高い方には参考になるでしょう。
まとめ
UXデザイナーの職種研究をしてきました。
比較的新しい職種で世の中で不足しているため活躍の場が多くあるのが特徴です。
一方で求められるスキルは幅広く勉強すべき事項も多くあります。
簡単になれる職種でもないので多くを学ぶために時間を割く覚悟が必要でしょう。
スキルと実績がつけば高い処遇と自由度の高い生活を手に入れられるのも魅力です。
基本的にはIT業界で働く人が多いので、IT業界の業界研究も併せて参考にしてみてください。
それでは職種研究頑張ってくださいね。