【空間デザイナーの仕事内容を解説】なり方や必要なスキル、向いている人とは?1日の流れからやりがい、平均年収まで徹底紹介
はじめに
華やかなイメージのあるデザイナーですが、その中でも仕事内容がわかりにくいと感じる方が多いのが空間デザイナーではないでしょうか。
そこでこの記事では、空間デザイナーの仕事内容や必要なスキル、向いている人の特徴などを網羅的に紹介していきます。
空間デザイナーに興味がある方やデザインを仕事にしたいと感じている方は、職種研究の参考にしてみてください。
なお「職種研究のやり方がよくわからない」という方は、以下の記事を先に読んでおくことをおすすめします。
空間デザイナーとは
空間デザイナーは名前の通り、空間をデザインする仕事です。空間といっても屋内の場合もあれば、屋外の場合もあります。
マンションなどの住環境を整えたり、ショッピングモールやイベント展示のデザインを決めたりするのが主な仕事です。
クライアントの要望を聞いてイメージにあうデザインをしていきます。
実用性を重視した設計をすることもあれば、アートのように芸術性を帯びたデザインをすることもあるでしょう。
快適な空間を自分自身で作り上げられるのが大きな魅力です。
空間デザイナーは何をする?
空間デザイナーと似た仕事にインテリアデザイナーがあります。
インテリアデザイナーはインテリアのデザインが仕事ですが、空間デザイナーはインテリア以外の空間すべてをデザインするのが仕事です。
インテリアデザイナーよりも担当範囲が広いため、より深いデザインの知識やセンスが問われます。
2つの違いを知っておくと空間デザイナーの仕事内容への理解が深まるので、覚えておくとよいでしょう。
そんな空間デザイナーですが、実際の仕事は以下のような流れで進めていきます。
- クライアントと打ち合わせをする
- デザイン案を作成する
- 施工業者を選ぶ
- 施工現場にて打ち合わせ
- 施工終了後、クライアントに引き渡す
クライアントからの要望を受けてデザイン案を作成します。
デザイン案はクライアントに納得してもらうため、何度か修正することもあるでしょう。
空間デザイナーはあくまでデザインをすることが仕事なので、デザインを具現化する仕事は施工業者に依頼します。
デザイン案通りに施工が進むように現場にも足を運んで、指示を出すことも仕事です。
施工が終わった後、クライアントに引き渡して1通りの仕事が終わります。
ただデザインを作るだけでなく、クライアントや施工業者とのやり取りも必要なのです。
空間デザイナーのやりがい
仕事内容が理解できたところで、空間デザイナーのやりがいを紹介します。
- 自分の表現ができる
- 成果が目に見えやすい
- 人との出会いがある
クライアントの要望を聞くことも大切ですが、デザイナー自身がアレンジを加えてよりよい空間を作ることも大切です。
自分自身が思い描いたデザインが現実のものとなるのは大きなやりがいになるでしょう。
また、デザインしたものが施工されて現実になるため、成果を実感しやすいのも大きな魅力です。
「自分がこれを作り上げたんだ!」という充実感や達成感を味わえます。
さらに、空間デザイナーの仕事はクライアントや施工業者などの多くの人が関わるものです。
仕事を通じて尊敬できる人に出会うこともあるかもしれません。
なんにせよ、同じ目標に向けて努力し続ける仲間を得られる体験は、何物にも変えがたいやりがいになるでしょう。
空間デザイナーの苦労
続いて、空間デザイナーの苦労を紹介します。
- 提案が通らないこともある
- 不規則な生活になりやすい
- 体力的に厳しいこともある
たとえ時間をかけてデザイン案を作っても、クライアントから認めてもらえいないこともあります。
努力が報われない感覚に陥いるとかなりの苦労を感じるでしょう。
また、厳しい納期が課せられることもあります。
このような場合には、依頼から施工完了まで数週間しかなく、次々に仕事をこなさなければいけません。
残業が必要になることもあり、生活が不規則になることもあるでしょう。不規則な生活が続けば体力的につらくなる場合もあるかもしれません。
日頃から健康的な生活習慣を心がけ、不規則な生活になった際にも健康を維持できるだけの余力をつけておきましょう。
空間デザイナーの平均年収
空間デザイナーの平均年収は400万円ほどと言われています。
専門性が高い仕事なので、経験が浅いうちは年収が低くなりやすいです。
一方で経験を積んでデザインに評価が得られると、一気に収入が上がる可能性もあります。
賞を獲得して認知度が上がったり「あなたに頼みたい!」と指名での依頼が入ったりするからです。
経験が浅く若いうちは、たくさんの仕事をこなして経験を積んでいくことを目指しましょう。
空間デザイナー1日の流れ
午前中は打ち合わせやデザイン案の作成、午後は現場の下見などで外に出ることが多いです。
ただ、依頼の状況によっては1日の流れが大きく変わることもあります。
たとえば、大型ショッピングモールなどにイベント会場を設営する際には、営業時間外での作業になるからです。
早朝や深夜に仕事をするケースもあると覚えておきましょう。とくに経験の浅いうちはそういった仕事を任される機会が多いです。
ある程度の不規則な生活は覚悟したおいた方がいいかもしれません。
どんな人が向いてる?
空間デザイナーに向いている人の特徴として、以下3つが挙げられます。
- 現実的
- 好奇心の範囲が広い
- 柔軟性がある
①現実的
現実的な人は空間デザイナーに向いています。
いくら素晴らしいデザイン案を提示しても、現実的に作成できないものでは意味がないからです。
独創的なアイデアもデザインには大切ですが、実際に形にできるかどうかを考える癖もつけておきましょう。
②好奇心の範囲が広い
好奇心の範囲が広い人は空間デザイナーとして活躍できるかもしれません。
空間のデザインにはデザインの幅広い知識が必要になるからです。
今までにないデザインを作るためには、あらゆることから学びとる好奇心が必要になります。
ニュースをチェックしたり映画や美術品を鑑賞したりなど、デザインに役立ちそうなことに触れる時間を作ってみてください。
③柔軟性がある
柔軟性がある人は空間デザイナーに向いています。
空間デザイナーの仕事は依頼内容によってスケジュールが大きく変動するからです。
不規則なスケジュールにも柔軟に対応し、成果をあげられる人は重宝されるでしょう。
日頃からスケジュール管理に意識を向けてみてください。
空間デザイナーで求められるスキル・資格・マインド
ここまでの内容で空間デザイナーの仕事についての理解が深まったでしょう。
「目指してみたい!」という気持ちが強くなった方もいるかもしれません。
そこでこの章では、空間デザイナーに求められるものを紹介していきます。
- スキル
- 資格
- マインド
スキル
空間デザイナーには以下のスキルが求められます。
- 勉強を楽しむ力
- 相手の要望を理解する力
- コミュニケーション能力
空間のデザインにおいては「アトリウム」「回遊導線」といった専門用語が使われます。
専門用語とはいっても、毎日の仕事で普通に使われるため理解が必須です。
そういった専門用語を楽しんで覚えていける勉強を楽しむ力は、空間デザイナーにとって大きな武器になるでしょう。
また、空間デザイナーはクライアントの要望に沿ったデザイン案を作ることが求められます。
相手の話からどういったデザインが求められているかを読み解き、理解する力が必要なのです。
さらに、理解した内容を施工会社にうまく伝えるためのコミュニケーションスキルも求められます。
日頃からデザインに関連する情報に触れたり、関わる人の要望を理解して適切に伝えたりすることを意識してみてください。
資格
「これがないと空間デザイナーにはなれない」という資格はありません。
就活に有利になる資格としては以下のような資格が挙げられます。
- 空間ディスプレイデザイナー
- インテリアコーディネーター
- インテリアプランナー
- 色彩検定
- 建築士
空間ディスプレイデザイナーは、空間デザイナーに必要な知識を網羅的に学べる資格です。
取得の敷居は高いですが、もっておくと就活にかなり有利になります。
インテリアに特化して屋内の空間デザインに力を入れたい方には、インテリア関係の資格がおすすめです。
また、デザインの基礎として色彩検定を受けるのもよいでしょう。
さらに範囲を広げて建築から空間をデザインしたい場合には、建築士の資格をとる人もいます。
マインド
空間デザイナーに必要なマインドは空間作りが好きであることでしょう。
空間デザイナーは空間すべてのデザインを担当する仕事であり、学ぶべき内容が多いからです。
実績のないうちは収入が低いことも多く、いわゆる下積み時代は大変かもしれません。
しかし、空間作りが好きであれば下積み時代でも楽しんで仕事ができます。
タイトなスケジュールや不規則な生活を乗り越えていくためにも、空間づくりを好きでいることはとても大切です。
空間デザイナーのキャリア
空間デザイナーになるにはどうしたらよいのでしょうか?
また、空間デザイナーになった後はどのようなキャリアパスがあるのかを紹介していきます。
空間デザイナーになるには?
空間デザイナーを目指すなら、美術大学やデザインの専門学校で勉強をするのが一般的です。
学生時代にデザインの勉強をしていなくても空間デザイナーを目指せますが、勉強している人の方が有利になります。
すでに紹介した資格の中には、専門科目の単位取得が受験資格になっているものもあるからです。
その後はメーカーなどでデザイナー職として働くか、デザイナー事務所に所属して外部から受注を受けるパターンがあります。
そのほかにも稀ではありますが、フリーランスデザイナーの助手として働くことで経験を積む道を選ぶことも可能です。
空間デザイナーのキャリアパス
空間デザイナーになった後は、実力をつけてフリーランスになったりデザイン事務所を立ち上げたりする人もいます。
実力が認められて指名での依頼が来るようになれば会社に属さずとも仕事ができるからです。
仕事の自由度が上がり、生活における満足度が向上するでしょう。
実力をつけていく方向性としては、インテリアに特化する、建築まで手がけるなどがあります。
自分なりの得意分野を見つけると「あなたにしかできない仕事」ができるようになり、独立も可能になるでしょう。
空間デザイナーの最新動向
ITをはじめとした様々な分野での技術が発達したことで、革新的なデザインが求められるようになってきました。
ショッピングセンターなどにも、デジタルディスプレイが置かれるなどすでに変化が起こっています。
感染症が蔓延して外出自粛が叫ばれた影響で、誰かと空間を共有することの価値が高まっているのも大きな変化でしょう。
従来であればそこまで重視されなかった場所でも、快適な空間を作るデザインが求められるようになる可能性があります。
そのほか、日本古来の伝統的なデザインが好まれる傾向も見られるようになってきました。
実用性ばかりを追い求めてきた流れに違和感を覚えた人が出てきたのでしょう。
どちらか一方を極めてデザイナーとしてのブランドを作るのもよいですし、最新技術と伝統文化を融合させたデザインを作る道もあります。
様々な分野に興味をもち、経験を積んでいく中であなたなりの方向性を見つけてみてください。
空間デザイナーにおすすめの本
「就活を有利に進めるために空間デザインについて学びたい!」と思った方もいるでしょう。
そういった方におすすめなのが『にぎわいのデザイン 空間デザイナーの仕事と醍醐味/吉里謙一』です。
著者の吉里さんは空間デザイナーとして会社に勤務したあとに独立を果たしています。
実力ある空間デザイナーがどのような気持ちで仕事に向き合っているのか、空間デザインをどんなふうに捉えているのかが描かれている1冊です。
学生時代についても言及されているため、これから空間デザインにどう向き合っていったらいいか悩んでいる方にはとても参考になるでしょう。
まとめ
空間デザイナーについて紹介しました。
空間デザイナーはデザイナーの中でも扱う領域が広い職種です。
学ぶことが多いので、デザインが好きでないと下積み時代が苦しいかもしれません。
ただ、技術の進歩などによって空間デザイナーの需要が高まる可能性があり、将来性が見込める仕事でもあります。
デザイン関連の仕事に就きたい人は候補の一つとして検討しみてください。
空間デザイナーの関連業界としては建設業界やホテル業界が挙げられます。
仕事で関わる業界について理解を深めることで、よりよい職種研究ができるでしょう。
それぞれの業界については以下の記事で解説しているので、参考にしてみてください。