【インダストリアルデザイナーの仕事内容を解説】なり方や必要なスキル、向いている人とは?1日の流れからやりがいまで徹底紹介
はじめに
皆さんはインダストリアルデザイナーという職種を聞いたことがありますか?
名前を聞いても何をする仕事かイメージがつく人は少ないでしょう。
実は私たちの身の回りにある家電などのデザインを考えているのがこのインダストリアルデザイナーなのです。
本記事ではインダストリアルデザイナーの職種研究を行っていきます。
職種研究を通してインダストリアルデザイナーが自身に合う職業か見極めましょう。
インダストリアルデザイナーとは
現在私たちの生活には多くの工業製品が使われています。
身近なものでは家電や自動車などがあり、機械がある生活が当たり前になっているのです。
インダストリアルデザイナーはそんな機械を含めた様々な工業製品のデザインを行います。
こちらではインダストリアルデザイナーが具体的に何をしているのか、そのやりがいや苦労、平均収入について紹介しているので見ていきましょう。
インダストリアルデザイナーは何をする?
インダストリアルデザイナーは工業製品のデザインを行う仕事です。
工業製品といっても多岐にわたり、大きなものでは飛行機から自動車などで身近なものでは家電やカメラなどが含まれます。
本記事を読む皆さんの中には機械や家電をそのデザインで選ぶ人も少なくないでしょう。
インダストリアルデザイナーは工業製品を使うユーザーの需要を踏まえたデザインを行います。
具体的な業務の流れとしては上図の通り、企画に関する議論から実際の製造現場のサポートまでがインダストリアルデザイナーの業務です。
1.企画
企画段階では社内や顧客企業の企画担当、営業担当と打ち合わせを行い製品の機能やメインターゲットを議論して決定していきます。
メインターゲットであるユーザーを決めることでその特色に合わせたデザインを作成していくため重要な工程です。
基本的に企画やターゲットがある程度は決まった状態で依頼が来る場合が多いため1から企画することはないでしょう。
それでも企画力などがあればスムーズに詳細を固めることができるので企画力があれば便利です。
2.デザイン案の作成
次に企画で決まった製品の機能の詳細やメインターゲットなどをもとにデザイン案を作成していきます。
このデザイン案作成がインダストリアルデザイナーの特に重要な仕事です。
まず最初に企画をもとに大まかなデザインの方向性を決めます。
何度も担当者とデザイン案をすり合わせて修正を重ねて納得のできるまでデザイン案を作成するのです。
大まかなデザイン案が固まると次に、より詳細なデザイン案を作成していきます。
詳細なデザイン案を作成するために3DCGを用いたり、模型を作ったりする場合があるため簡単なCG技術があれば便利です。
3.機構の設計
デザイン案ができれば次は製品の内部の機構についても設計していきます。
インダストリアルデザイナーは工業製品の外部デザインだけでなく内部の設計まで考える必要があるのです。
内部の機構を考える場合は見た目ではなく効率や安全性を重視した設計が求められます。
内部の機構などはとても専門性の高いところもあるため理工系知識が重要です。
4.試作品作成
デザイン案や機構の設計が固まればそれらをもとに試作品を作ります。
試作品を作成してデザインに問題がないかを実際に目で見て確認する重要な工程です。
ここで問題がなければ製造がはじまります。
5.製造現場サポート
インダストリアルデザイナーの仕事は製品化するための製造現場サポートまで続きます。
生産段階での不具合などの問題がないかを確認し、場合によってはデザインの修正なども起きるでしょう。
製造現場の担当と意見を交わして問題を解決できれば製品化が完了してインダストリアルデザイナーの作業が終了します。
インダストリアルデザイナーのやりがい
インダストリアルデザイナーのやりがいは自身がデザインに携わった商品が多くの人に使ってもらえることです。
特にデザインが評判で商品が売れたと知れたときの喜びはとても大きく次の仕事への意欲につながります。
また自身の仕事が形となって世の中に残り続けることもやりがいの1つでしょう。
特に工業製品の中には日常生活で必要不可欠なものもあり、自分のデザインした製品を街中などで見かけたときの達成感や充実感はとても大きいです。
インダストリアルデザイナーの苦労
インダストリアルデザイナーは良くも悪くも個人の能力が出やすく必ず成功するわけではないのです。
企業所属ならばコンスタントに仕事ができますが、独立したりデザイナー事務所に所属したりする場合は必ずしも仕事があるわけではありません。
そのため能力や実績が重要になっていき、より実力主義となってしまうのです。
インダストリアルデザイナーの平均年収
インダストリアルデザイナーの平均収入は約500万円~700万円とされています。
一般的なサラリーマンの平均年収と比較すると高い金額です。
高い理由として工業製品のデザインは売り上げに大きく作用する重要な要素の1つだからと考えられます。
また求められるスキルや能力も大きく、そんな中でも実績や能力を磨いていけばさらに収入を上げる可能性があるのです。
独立した場合もこの平均年収を大きく超えられる場合があります。
年収を上げたい場合は実績とスキルを身につけることが重要です。
インダストリアルデザイナー1日の流れ
インダストリアルデザイナーの1日の業務のほとんどが打ち合わせとデザイン作業にあてられます。
同時に複数のプロジェクトのデザイン業務を行う場合があるため1日のうちで時間で分担して作業することも多いです。
午前中に新規プロジェクトの顧客と打ち合わせする場合もありますが、ない場合は1日デザイン業務や他社商品のデザインなどの情報収集を行います。
業務の段階によってテレワークができる場合がありますが、試作品の作成や模型でのデザイン案作成、生産ラインのサポート時は出社が必要です。
どんな人が向いてる?
職種研究において自身がその職種に向いているのかを理解することは大切です。
こちらではインダストリアルデザイナーにどんな人が向いているのか紹介していきます。
クリエイティブな思考力がある
クリエイティブな思考力があることはインダストリアルデザイナーになるうえでとても重要です。
インダストリアルデザイナーの仕事は工業製品のデザインを行う仕事のため常に新しいデザインが求められます。
そのためクリエイティブな思考力は新しいデザインのアイディアを出すサポートをしてくれるでしょう。
リサーチが上手い
リサーチが上手いこともインダストリアルデザイナーに求められる力です。
インダストリアルデザイナーがデザイン案を作成する際に情報収集は必須の作業となります。
そのためいかに効率的に情報収集できるかでデザイン案作成のスピードが大きく変わるのです。
インダストリアルデザイナーを目指す場合はリサーチする力を身につけておくとよいでしょう。
じっくりと人と関係を築ける
インダストリアルデザイナーは業務で依頼主や製造現場とのコミュニケーションが必要なためじっくりと人と関係を築く力が重要です。
特に製造現場では製造過程でのデザインに対する不具合を発見する必要があります。
現場との連携を行うためにもしっかりとコミュニケーションをはかり関係を築くことが大切です。
インダストリアルデザイナーで求められるスキル・資格・マインド
職種研究をするうえでその仕事に求められるものがどんなものなのか理解することは重要です。
こちらではインダストリアルデザイナーに求められるスキルや資格、マインドについて紹介していきます。
スキル
インダストリアルデザイナーに主に求められるスキルは以下の通りです。
- デザイン力
- 理工系知識
- 分析力
インダストリアルデザイナーに求められるスキルの多くは技術に関連するものとなります。
デザイン力はインダストリアルデザイナーに必須といわれるスキルです。
0からデザインを行うことやそれらを表現することなどが求められます。
理工系知識はデザイン力に次いで重要なスキルです。
インダストリアルデザインは工業製品のデザインのため工業製品作成に必須な理工系知識を持っている必要があります。
そのため文系からインダストリアルデザイナーを目指す場合は最低限数学や物理、化学といった理工系知識を勉強しておきましょう。
分析力はデザイン作成の際に重要なスキルです。
デザインを作成する際は情報収集としてトレンドや他社のデザインなどから売れるデザインを分析しなくてはいけません。
インダストリアルデザイナーは情報分析の機会が多くあるため分析力を高めておくと良いでしょう。
資格
インダストリアルデザイナーにあると便利とされている資格が以下の通りです。
- プロダクトデザイン検定
- 空想ディスプレイデザイナー認定試験
- インテリアデザイナー認定試験
インダストリアルデザイナーになるうえで必須の資格はありませんが上記の資格があれば仕事を得るうえで大きく役にたつでしょう。
企業やデザイン事務所に就職したり、フリーランスとして働いたりする場合でも資格があれば実績として提示することができます。
インダストリアルデザイナー協会が認定するプロダクトデザイン検定はインダストリアルデザイナーを目指す場合はとっておくことがおすすめです。
その他の資格に関してはデザインに関する技能的な資格が便利なので就職やキャリアアップに利用したい場合は取得しておきましょう。
マインド
こちらではインダストリアルデザイナーになるうえで必要なマインドについて紹介していきます。
向上心を持つこと
インダストリアルデザイナーに必要なマインドは向上心を持つことです。
工業製品は毎年新製品が出されておりインダストリアルデザイナーはそのたびに新しいデザインを作成します。
最新モデルが出るたびにデザインを一新し、前モデルよりも良いものを追求しなくてはいけません。
そのため常に向上心を持ち続けることがインダストリアルデザイナーに必要なマインドセットといえるでしょう。
ユーザー目線に立つこと
ユーザ目線に立つこともインダストリアルデザイナーに必要なマインドです。
工業製品のデザインはそれを主に利用するユーザーや利用してほしいユーザーの目線に立ってデザインを行います。
ユーザーの特色によっても求められるデザインが変わってくるため案件ごとにしっかりとユーザー目線に立つ必要があるのです。
ユーザー目線に立ってニーズをしっかりと捉えられるインダストリアルデザイナーに、継続して案件が来ます。
そのためインダストリアルデザイナーを目指す場合は常にユーザー目線に立つことを心がけましょう。
インダストリアルデザイナーのキャリア
職種研究においてその職業のなり方やなった後のキャリアパスについて理解することはとても重要です。
こちらではインダストリアルデザイナーのなり方やキャリアパスについて紹介していきます。
インダストリアルデザイナーになるには?
インダストリアルデザイナーには主に以下の2つのなり方があります。
- 工業製品関連メーカーやデザイン事務所に就職する
- フリーランスとして働く
工業製品関連メーカーやデザイン事務所に就職する
インダストリアルデザイナーのなり方として工業製品メーカーのデザイン部やデザイン事務所に入社する方法があります。
正社員として雇用されるため安定して給料を得ることができ、また研修体制もしっかりとしている場合が多いです。
ただ基本的に工業製品メーカーのデザイン部として採用される場合はインダストリアルデザインのプロとして採用されます。
そのため実力や実績がとても重要視されるので業界としても経験者の方が優遇されやすいです。
実績や能力が求められる場合が多いため学校で自身で作成したデザインなどのポートフォリオを準備しておくと良いでしょう。
フリーランスとして働く
フリーランスとして働くこともなり方の1つです。
フリーランスの場合、企業や事務所で働く場合以上に実績や能力が重要視されます。
そのため就職してからある程度実績や能力を積んでからフリーランスとして独立または事務所の立ち上げを行う場合があるのです。
すべてのことを自身で行わなくてはなりませんが運と実力がかみ合えば会社員時代よりも多くの年収を稼ぐことも夢ではありません。
インダストリアルデザイナーのキャリアパス
インダストリアルデザイナーには下記のようなキャリアパスが存在します。
- 工業製品メーカー内で管理職(マネージャー)になる
- 別の工業製品メーカーに転職する
- フリーランスとして独立する
工業製品メーカー内で管理職を目指す場合は実力や実績だけでなく企画力や別のデザイナーをまとめる管理スキルが求められます。
同じ企業内でのキャリアアップのため着実に年収アップが狙えるでしょう。
別の工業製品メーカーに転職する場合は今働いているものより上のランクの企業に転職する場合も多いです。
デザイナーは別の工業製品メーカーに転職する人が比較的多くいます。
理由としてデザイン業界全体が即戦力を求めている状況にあることで新卒以上に中途としての採用に力を入れている企業が多いためです。
フリーランスとして独立する場合は仕事の受注まで自身で行うことになりますがその分しっかりと仕事が取れれば年収が1億を超える場合もあります。
インダストリアルデザイナーのキャリアパス全般に言えることはしっかりとした実績と実力を身につけることで次のキャリアパスへつながるということです。
インダストリアルデザイナーの最新動向
インダストリアルデザイナーの最新動向としてその需要が高まってきていることがあげられます。
昨今3Dプリンターの登場など、技術発展によって工業製品メーカーごとの技術差が小さくなっているのです。
そのため各製品で差が出やすいデザインのオリジナリティが求められています。
製品によっては新作発表のスパンが短いものもあるため今後もインダストリアルデザイナーの需要は高まっていくでしょう。
インダストリアルデザイナーにおすすめの本
最後にインダストリアルデザイナーになるうえでおすすめの本について紹介していきます。
こちらで紹介する本を読んでインダストリアルデザイナーになるための勉強をしてみてください。
プロダクトデザイン 商品開発に関わるすべての人へ
この本は商品開発におけるデザインについて企画から考え方まで記載されている1冊です。
プロダクトデザインは制作物全般のデザインを行うことを指し、インダストリアルデザインはプロダクトデザインの中に含まれています。
そのため本書で記載されているプロダクトデザインに関する情報はインダストリアルデザイナーとしても重要な情報が多いです。
見た目のデザインに関する解説だけでなく、マーケティングやユーザ工学など幅広いデザインに関わる知識を学ぶことができます。
インダストリアルデザイン講義
この本はグッドデザイン賞を統括してきた著者による、東大でのこれまでのインダストリアルデザインに関する講義を集成した1冊です。
国内のインダストリアルデザインに関する歴史から手法や考え方までが記されており、インダストリアルデザインについて幅広く紹介されています。
インダストリアルデザインについていくつかの事例をもとに様々な視点から記載されているためしっかりと学びたい人におすすめです。
プロダクトデザイン[改訂版] 商品開発のための必須知識105
この本は日本インダストリアルデザイン協会が執筆した商品開発に関わるプロダクトデザインについて紹介された1冊です。
執筆監修が日本インダストリアルデザイン協会のため関連資格の勉強本としても活用できます。
基本的な知識から歴史に至るまで網羅的に情報が紹介されているため初めてインダストリアルデザインについて学ぶ際におすすめです。
まとめ
本記事ではインダストリアルデザイナーについて紹介してきました。
インダストリアルデザイナーはスマホをはじめとした私たちの身の回りにある工業製品のデザインを行う仕事です。
昨今の技術の発展によって商品の魅力のうちデザインが大きく占めるようになったことでインダストリアルデザイナーの需要が高まっています。
売れるインダストリアルデザイナーを目指す場合は専門性や実力が重要です。
実力や実績をつければ年収を多く稼げる可能性もあり、工業製品の入れ替えの頻度も高いことも相まって将来性のある仕事といえるでしょう。
自分で商品のデザインをしたい人などは是非インダストリアルデザイナーを視野に就職活動をしてみてください。
インダストリアルデザイナーとして働く機会の多いハードウェア業界について、以下の記事にて紹介していますのでこちらも参照してみましょう。
本サイトをご覧の皆さんが良い仕事に出会えることを祈っています。