【食品業界:図解で3分解説】どんな仕事をやるの?向いている学生や今後の動向、企業ランキングも紹介
はじめに
生活に欠かせない業界であり、その身近さや知名度の高さゆえに就活生から非常に人気な食品業界。
しかし食品業界と一言でいっても様々なジャンルや企業が存在するため、「どんな情報から集めればよいのだろう?」と業界研究の進め方に不安を感じている人は多いのではないでしょうか?
また食品業界を志望している人は、近年の新型コロナウイルスの影響についても気になっているでしょう。
そこでこちらの記事では、食品業界の概要や現状、具体的な仕事内容から向いている学生まで徹底解説していきます。
「食品業界に興味はあるけれど具体的にどんな仕事が存在するのだろう?」と疑問に感じている人や「新型コロナウイルスによる影響や今後の動向が知りたい」という人はぜひ参考にしてください。
業界研究をする前に
業界研究は、きちんと目的を理解したうえで行うことが重要です。
業界研究の目的は、ただ単に業界に関する知識や情報を集めることではありません。
自分に合った業界か見極め、入社後のミスマッチを防ぐことが正しい目的です。
そのため本記事を読むときは、食品業界への理解を深めながらも、本当に自分と合う業界・仕事内容なのかも意識して読み進めていくことをオススメします。
ちなみに業界研究をまだ始めたばかりの人は、こちらの記事もぜひ読んでみてくださいね。
業界研究の目的・やり方を正しく理解したうえで就活を進めていきましょう。
食品業界とは
食品業界は、私たちの生活に欠かせない重要な業界。知名度の高い企業も多く、就活生から非常に人気な業界です。
しかし食品業界と一言でいっても、取り扱う食材によって様々なジャンルに分類されます。
そのためまずは食品業界の概要や売上高ランキング、基礎知識について解説していくので、食品業界を志望する人はぜひ最後まで目を通してみてください。
食品業界の概要
食品業界というと、「味の素」などの調味料メーカーや「明治HD」などの菓子メーカーを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?
実際、食品業界における多くの企業は上図のように原材料を調達し、小売店・外食産業へ製品を販売することで成り立っています。
しかし食品業界は、このような加工食品・食材メーカーだけではありません。農業やたばこ産業なども食品業界に含まれ、合計7つに分類されます。
それぞれの特徴を理解し、食品業界の全体像を把握していきましょう。
1. 加工食品メーカー
主に一般消費者向けに食品を企画・製造しているのが「加工食品メーカー」です。
あらゆる食品を取り扱うのではなく、特定のジャンルに絞って製造しています。
加工食品メーカーのジャンルとそれぞれの主力企業は次の通りです。
- 調味料(味の素・キユーピー・キッコーマン)
- 冷凍食品(日本水産・ニチレイ・サンヨー食品)
- 即席麺(日清食品HD・東洋水産)
- 菓子(明治HD・ロッテ・森永製菓)
- パン(山崎製パン・フジパングループ・敷島製パン)
2. 食材メーカー
主に加工食品メーカー向けに食材を販売しているのが「食材メーカー」です。
加工食品メーカー以外にも、外食産業やレストランなどの業務用として販売することもあります。
食材メーカーのジャンルとそれぞれの主力企業は次の通りです。
- 製油(日清オイリオグループ・不二製油・J-オイルミルズ)
- 製糖(三井製糖・日本甜菜製糖・日新製糖)
- 製粉(日清製粉グループ・日本製粉・昭和産業)
3. 飲料メーカー
飲料メーカーも食品業界に分類されます。
飲料のジャンルとそれぞれの主力企業は次の通りです。
- 清涼飲料水(サントリー食品インターナショナル・アサヒ飲料・伊藤園)
- 乳製品(明治HD・森永乳業・雪印メグミルク)
- アルコール飲料(アサヒグループHD・キリンHD・サントリーHD)
4. 農業
農業も食品業界に分類されます。
農業=農家やJAグループのイメージが強いかもしれません。しかし、それ以外にも以下の5つのジャンルが存在します。
特に農機メーカーでは「クボタ」や「ヤンマーHD」が有名です。
- 農機
- 肥料・飼料
- 農薬
- 種苗
- コメ卸
5. 漁業・水産
漁業・水産は「マルハニチロ」や「日本水産」が主力企業。
水産物の調達や養殖、加工食品の製造まで行います。
6. 食肉
食肉は「日本ハム」や「伊藤ハム米久HD」が主力企業。
食肉の生産や卸売り、ハム・ソーセージなどの食肉加工品の生産を行います。
7. たばこ
嗜好品であるたばこも食品業界に分類されます。
国内シェアの6割以上を占める「JT」が有名です。
紙巻きたばこ・加熱式たばこの原材料の調達や生産を行います。
食品業界の売上高ランキング
食品業界における売上高ランキングは上図のようになっています。
第1位の明治HDの業界シェアは約6%。食品業界は様々なジャンルに分かれているため、他業界でよくある寡占状態(少数の大手企業が市場を支配している状態)とはなっていません。
また明治HDと味の素は、業績と知名度の高さゆえに就職企業人気ランキングでも例年上位にランクインしています。
食品業界の基礎知識
食品業界は「胃袋産業」と言われます。
なぜなら食品の需要は、人間の胃袋の容量に左右されるからです。
一人当たりの胃袋の容量を増やすことは難しいため、人口の増減が食品需要の増減に直結します。
食品は生活に欠かせないものだからこそ、「食品業界」=「安定」だと思っている人も多いかもしれません。
しかし実際は、少子高齢化・人口減少により国内市場がなかなか厳しい状態です。
もし食品業界を目指す場合は、各企業が国内需要の減少に対して具体的にどのような取り組みをしているのか調べ、将来性を重視したうえで企業研究するとよいでしょう。
食品業界の現状と今後の動向
食品業界は2020年以降、新型コロナウイルスの感染拡大により多大な影響を受けました。
そのためここでは、新型コロナウイルスが食品業界へ与えた影響と今後の動向について解説していきます。
新型コロナウイルスが食品業界へ与えた影響
新型コロナウイルスが食品業界に与えた影響は大きく分けて3点あります。
それぞれ具体的に解説していくのでぜひ参考にしてください。
1. サプライチェーンの崩壊
食品業界において最も大きな影響となったのは、サプライチェーンの崩壊です。
サプライチェーンとは、食材の調達・製造・配送・販売といった一連の流れのことを指します。
近年、日本の農業は外国人農業実習生により労働力不足を補ってきました。
しかし新型コロナウイルス感染拡大後は、渡航制限のため多くの生産地で人手不足となり、生産地に食材はあるものの収穫ができない状況となっています。
また、労働者が密集しないよう感染対策したうえで工場を稼働させることも大変ですし、万が一集団感染が発生した場合は操業停止せざるを得ません。
新型コロナウイルスの影響というと商品の需要に関する影響ばかり考えてしまいがちですが、実際は商品製造までの過程にも多大な影響を与えています。
2. 学校給食・業務用需要の低下
緊急事態宣言による飲食店の休業・時短営業も、食品業界に大きな影響を与えました。
多くの食材は「一般消費者向け」と「業者向け」の2つに分けられて生産されており、業者向けの食材をそのまま一般消費者向けに振り分けるのは容易なことではありません。
サプライチェーンにも影響が出るうえに、レストランや旅館などに向けた高級食材は一般消費者向けに販売してもほぼ売れないでしょう。
また食材は在庫として持ち続けることはできないため、売れ残ってしまったら廃棄するしかありません。
その上いつ休業・時短営業要請が解除されるか目処が立たない状況のため、生産量のコントロールが難しい状況となっています。
3. 外出自粛によるニーズの変化
外出自粛により消費者のニーズやトレンドも変化しました。
調理済み食品や冷凍・缶詰などの保存のきく食品の買いだめが発生し、家族で食事をとる機会が増えたことから内食需要が高まっています。
今後の動向
食品業界の今後の動向は、次の4点がカギとなるでしょう。
- コロナ禍におけるニーズ変化への対応
- 少子高齢化および健康志向への対応(機能性食品)
- 共働き世帯増加への対応(時短食品)
- 海外市場への参入
新型コロナウイルスおよび国内の人口減少により食品業界は厳しい状況にあります。
しかし、その中でも業績を伸ばしているのが「機能性食品」と「時短食品」です。
「機能性食品」は、少子高齢化や健康志向により近年需要が高まっています。
そして、冷凍食品やレトルト食品など調理時間の短縮が図れる「時短食品」は、近年共働き世帯が増加したことが人気の要因です。
そして今後はそのような国内需要の変化に対応しながらも、これから市場の成長が見込める中国・インド・ベトナム・タイなどのアジア新興諸国への参入が活発化するでしょう。
食品業界の仕事内容
ここでは、食品業界の中で最も人気な加工食品メーカーに着目し、具体的な仕事内容を5つ紹介していきます。
それぞれどんな役割を担っているのか解説していきますので、さらに食品業界への理解を深めていきましょう。
1. マーケティング
マーケティングは、市場の開発・拡大に関わる仕事。
消費者のニーズやトレンドの変化を敏感に感じ取り、時代に合った商品企画を行います。
また商品企画後の製造・販売促進などのあらゆる業務を統括するのもマーケティングの仕事です。
2. バイヤー
バイヤーとは食材の調達をする仕事。
仕入れ先を求めて、日本だけでなく海外を飛び回ることもあります。
生産者と交渉し、自社商品に最適な食材を適正な価格で仕入れることで、商品の品質向上と利益確保という2つの大きな責務を負う仕事です。
3. 営業
自社商品を一人でも多くのお客様に届けられるよう取引先と交渉するのが営業の仕事です。
主な取引先は、食品卸会社やスーパー・コンビニなどの小売店、レストランなどの外食産業。
小売店への営業では、商品の売り込みだけでなく商品陳列の提案も行います。
また海外展開しているメーカーの場合は、海外企業への訪問営業や現地での展示会へ参加することもあるでしょう。
4. 生産技術
生産技術は、商品を製造するための技術を開発する仕事。
高品質で安全な商品を低コストで製造するために、工程設計や設備計画、食品加工の技術開発などを担当します。
机上で行う業務がほとんどですが、実際に工場へ行って生産ラインを確認したり、現場の担当者とコミュニケーションを取って改善案を検討するのも生産技術の仕事です。
専門知識やスキルが必要な業務のため、一般的にエントリーは理系学生に限定されます。
5. 研究開発
研究開発は、新商品の開発や品質向上に繋がる研究をする仕事。
生産技術やマーケティング部門と連携して、商品化した際の安全性や収益性の検証も担当します。
生産技術同様、一般的には理系学生のみがエントリーできる職種です。
食品業界に向いている学生
以下の4点に当てはまる場合は、食品業界に向いている人と言えるでしょう。
- 「食」に興味・関心がある人
- 味覚・嗅覚が鋭い人
- 変化に対して柔軟に対応できる人
- 問題解決力がある人
まず「食」に興味・関心がなければ、顧客のニーズに応える商品の企画・製造はできません。
また商品の企画・製造に関わる仕事だけでなく、営業部門でも「食」への関心や鋭い味覚・嗅覚が求められます。
商品の魅力を正しく理解していなければ、商品を顧客へ売り込むことはできません。
さらに食品業界は、時代やニーズの変化によって大きく左右されるうえに、国内需要の低迷や海外市場の開拓など今後様々な問題を乗り越えていかなければならない業界です。
したがって、変化に対して柔軟に対応でき、問題解決のために果敢に挑戦していける人が向いているでしょう。
ぜひ上記の内容と自己分析の結果を照らし合わせて、食品業界が自分に合っているか確かめてみてください。
まとめ
食品業界は、私たちの生活に欠かせない重要な業界。
しかし近年は新型コロナウイルスの影響を大きく受けており、少子高齢化・人口減少により国内市場はなかなか厳しい状況です。
食品業界の今後は、これから成長が見込めるアジア市場への参入と、国内で需要が伸びている機能性食品・時短食品の拡大がカギを握っています。
今回紹介した5つの仕事内容に興味をもった人や変化への対応力・問題解決力が高い人は、食品業界を視野に入れて就活してみてはいかがでしょうか?
ちなみに本サイトでは食品業界以外にも様々な業界について解説しています。ぜひこちらも参考にしてみてください。