【法人営業の仕事内容を解説】なり方や必要なスキル、向いている人とは?1日の流れからやりがい、平均年収まで徹底紹介
はじめに
世の中には中小企業から大企業まで様々な企業が存在しています。
企業がお互いにビジネスを行うには企業間のやりとりを行う職種が必要です。
自社のサービスや商品を他社に対し提案・交渉・サポートを行っていく職種が法人営業になります。
法人営業の特徴はビジネススケールが大きく会社の売上を大きく左右することです。
個人営業と混同されがちな職種ですが、その違いや仕事内容、やりがい、向いている人などについてこの記事で詳しく解説していきます。
職種研究については以下の記事で紹介していますので参考にしてください。
法人営業とは
法人営業とは企業を相手に営業する仕事です。
企業を別の呼び方で表した言葉が「法人」になります。
世の中にはたくさんの企業が存在し、それぞれの企業は様々な商品やサービスを提供し自社の事業を拡大中です。
企業がお互いに取引するには必要不可欠な職種になります。
法人営業は何をする?
法人営業は新規開拓営業と既存顧客営業の2つに分けることができます。
新規開拓営業はこれまでに取引のない企業を新たに開拓する事が仕事です。
業務ではネットや情報誌で見込み顧客を探し電話やメールでアプローチを行います。
アプローチに成功し、商談の機会をいただいたら実際に企業に訪問し商談です。
商談を成功させ契約を獲得することが仕事になります。
一方、既存顧客営業の仕事は既に取引がある企業に対し継続した営業活動を行うことです。
そのため、顧客企業との関係性を重視することが必要になります。
既存顧客に対しサポートを行いつつ、自社の商品やサービスを新たに提案することが仕事です。
法人営業のやりがい
法人営業のやりがいとしては下記3点を挙げることができます。
- ビジネススケールが大きい
- 一流企業を相手にビジネスができる
- 経営層に直接交渉ができる
それぞれを具体的にまとめてみます。
ビジネススケールが大きい
法人営業は企業を相手に取引を行うためビジネススケールの大きさが醍醐味になります。
個人営業の場合、取り扱う金額は多くても数百万円前後となる事が多いです。
しかし法人営業の場合、億単位の金額を扱う事もあります。
取り扱うビジネススケールの大きさがやりがいの一つです。
一流企業を相手にビジネスができる
法人営業を行う企業は誰もが知っている一流企業であることもあります。
個人営業では一流企業を相手にするビジネスは難しいですが法人営業であれば可能です。
また、複数の一流企業を相手に同時に取引を行うこともできます。
自分の交渉力で一流企業を開拓できた時は、きっと大きな達成感を得られるのではないでしょうか。
経営層に直接交渉ができる
法人営業では経営層に直接交渉を行うチャンスもあります。
ビジネススケールが大きく契約締結に際し経営層を直接説得する場面も発生するためです。
経営層の意思決定は、その会社だけでなく業界全体に影響を与える場合もあります。
このように、重要な意思決定に影響を与える事ができる点も法人営業のやりがいです。
法人営業の苦労
法人営業の苦労としては下記の3点を挙げることができます。
- 毎月の営業目標達成にプレッシャーを感じる
- 社内外の関係各所との調整に時間が割かれる
- わずかな失敗が大きな損失につながる
それぞれを具体的にみてみましょう。
毎月の営業目標達成にプレッシャーを感じる
法人営業では会社から営業担当に営業目標が設定されています。
また、法人営業の成果をチェックする指標は営業成績です。
特に、新規開拓営業の場合アポイントの獲得や契約獲得にエネルギーを投じるため業務は非常にハードになります。
毎月数字を追い求めなければならないところが大変なところです。
社内外の関係各所との調整に時間が割かれる
法人を相手に交渉を行う場合、社内外の様々な部門への調整が必要になります。
例えば、相手が特定の商品のサンプルを求めてきた場合、商品開発部にサンプルの作成を依頼しなければなりません。
その際に、取引先と合意した期限までにサンプルの納品を調整する必要があります。
このように、社内外の関係各所への調整に時間が割かれる事が難しいところです。
わずかな失敗が大きな損失につながる
法人営業では取り扱うビジネススケールが大きいため、わずかな失敗が大きな損失につながることもあります。
会社によっては一人で億の単位のビジネスを動かすケースもあるでしょう。
ビジネススケールと金額が大きいことは魅力ですが同時に大きな責任も発生します。
そのため、法人営業担当はミスのない確実な仕事を行う事が必要です。
法人営業の平均年収
法人営業の平均年収は428万円になります。
日本のサラリーマンの平均年収430万とほぼ同じくらいですね。
尚、法人営業は成約に応じてインセンティブが支払われる企業もあり平均年収より年収が多くなるケースもあります。
法人営業は実力があれば、より給与条件の高い会社へ転職する事も可能です。
会社によっては法人営業で1000万以上の年収を獲得している人もいます。
法人営業1日の流れ
法人営業がどのような働き方をしているかをまとめてみました。
新規開拓営業と既存顧客営業で内容が変わってきます。
新規開拓営業の場合、午前中の業務は見込み顧客へのリサーチやアポイントです。
アポイントが取れた顧客のニーズを把握し解決策を考えておくことが商談の成否に影響を与えます。
勝負はアポイントの時点からスタートしていることを忘れないようにしましょう。
午後は企業を訪問し商談という流れになります。
既存顧客営業の場合、午前中の業務は既存顧客からの問い合わせ対応です。
午後は商談のため外出することが多くなります。
帰社後の業務は商談でヒアリングした取引先の近況や課題を社内に共有し解決につなげるプランの立案です。
既存顧客営業は取引先との中長期的な関係性を重視するため、取引先の課題解決を目指す姿勢が信頼につながります。
月末になると営業目標達成のため業務時間が長くなることもあるようです。
どんな人が向いてる?
法人営業に向いているタイプは以下の3点です。
- 人と話す事が好きな人
- 常に情報にアンテナをはっている人
- 論理的思考力が高い人
それぞれを詳しくまとめてみます。
人と話す事が好きな人
法人営業はある意味、人と話すことが仕事です。
そのため人と話すことが好きでなければ仕事が苦痛になるでしょう。
常に情報にアンテナをはっている人
法人営業では常に情報にアンテナを張っている事が大切です。
皆さん考えてみて下さい。
最新のビジネス情報を持っている営業担当と知識が少ない営業担当どちらに仕事を依頼したいでしょうか。
当然、最新のビジネス情報を持っている営業担当に依頼をしたいはずです。
営業先を訪問して商談の場で業界の話題を振られた際に知らなかったでは信用を失います。
そのため、法人営業担当者はネットや書籍・新聞等で情報を収集し続けることが必要です。
論理的思考力が高い人
法人営業は数多くの法人とやり取りをします。
そのため電話や商談時に伝えたい内容をコンパクトに的確に伝えるスキルが必要です。
論理的思考力を鍛えることが非常に大切になります。
法人営業で求められるスキル・資格・マインド
法人営業に就くにはどのようなスキルや資格が求められるのでしょうか。
また、法人営業に必要なマインドについてもまとめてみます。
スキル
求められるスキルとしては下記が大切になります。
- 高いコミュニケーション能力
- スケジュール管理能力
以下、具体的にまとめます。
高いコミュニケーション能力
法人営業で交渉を行う対象はあくまでも人になります。
そのため高いコミュニケーション能力が必要です。
コミュニケーション能力は、相手の意向を把握するヒアリング能力とこちらの意向をロジカルに伝える能力になります。
ロジカルに話せるようになるには当然、論理的思考力も必要です。
実際の商談の時間は1時間前後の限られた時間しかありません。
この限られた時間で企業の担当者が理解できるように、短時間で的確に要件を伝えるコミュニケーション能力が求められます。
スケジュール管理能力
2つ目に必要なスキルはスケジュール管理能力になります。
法人営業では納期を守ることは極めて大切です。
法人営業は同時に複数社と業務を進めるため、各会社の業務をスムーズに確実にこなせるスケジュール管理能力が求められます。
スケジュール管理をうまく行うことで仕事の成果を高めることも可能です。
そのため、法人営業にはスケジュール管理能力が必要となります。
資格
法人営業に役立つ資格は下記になります。
- 日商簿記検定3級・2級
- TOEIC
- 中小企業診断士
それぞれの資格についてまとめます。
日商簿記検定3級・2級
法人営業に役立つ資格として日商簿記検定3級・2級をおすすめします。
商談の際に企業への見積もり作成に数字を扱うことが多いためです。
そのため会計の知識が身につく簿記の資格は有効になります。
まずは簿記3級の取得を目指しましょう。可能であれば簿記2級を取得されることも目指してください。
TOEIC
法人営業に役立つ資格としてTOEICもおすすめです。
グローバルに事業を展開している企業へ法人営業を行う場合、メールやビジネス書類を英語で作成する場合もあります。
そのため、TOEICで高い得点を獲得できればグローバル企業との取引の際に有利になるでしょう。
中小企業診断士
営業職としての提案力を上げたいのであれば将来的には中小企業診断士の資格を取得されることもおすすめです。
中小企業診断士は難関資格ですが法人の経営課題を分析する知識が身につきます。
企業の経営課題解決まで含むもう一段上の営業力を身につけるには中小企業診断士の取得が有効です。
マインド
法人営業に必要なマインドは下記の3点です。
- 誠実さ
- プラス思考
- 最後までやり遂げる粘り強さ
以下、それぞれの項目をまとめます。
誠実さ
まず、求められるマインドは誠実さです。
営業は商品を売るのではなく、自分を売るともいわれるように自分を信頼してもらえなければ企業との契約獲得は難しいでしょう。
では信頼してもらうためには何が必要でしょうか。
それは誠実である事になります。企業の求めに対し誠実に対応する姿勢が必要です。
プラス思考
2つ目はプラス思考である事が大切になります。
法人営業が評価されるポイントは営業目標を達成することです。
仕事の成果が達成か未達かの違いで会社からシビアに評価されます。
また、企業からクレームや難しい依頼を受けることも多いです。
そのため、どんな状況でもプラスに捉えて取り組めるプラス思考のマインドが大切になります。
最後までやり遂げる粘り強さ
3つめは最後までやり遂げる粘り強さが大切になります。
言葉を変えていうならタフさが必要になるという事です。
法人営業では様々な企業と商談を行います。
毎回毎回の商談は真剣勝負の連続です。
場合によっては企業の経営層と商談することもあります。
ハイレベルな交渉が展開される場合もあり商談を最後までやり遂げる粘り強いマインドが必要です。
法人営業のキャリアパスは?
法人営業として経験を積むにはどうすればいいのでしょうか。
また、法人営業の経験を積んだ際にどのような可能性があるのかを見ていきます。
法人営業になるには?
法人営業の経験を積むにはいくつかの方法があります。
- 新卒で法人営業の職種に就く
- 総合職で入社し法人営業の職種を希望する
それぞれについてまとめます。
新卒で法人営業の職種に就く
新卒で法人営業に就くにあたり必須のスキルはありません。
特別なスキルよりも、どちらかというと誠実さや信頼、コミュニケーション能力を重視される傾向にあります。
また、ほとんどの会社で法人営業の職種は存在しているので、まずは新卒時に法人営業の職種に就いて経験を積むことです。
総合職で入社し法人営業の職種を希望する
2つ目の方法は総合職で入社し他の仕事を経験した後、法人営業の職種に異動を希望する方法です。
総合職として社内で複数の業務を経験する事で自社のビジネスへの理解が深まるでしょう。
自社のビジネスを理解した上で法人営業に就くことになるので企業への提案力が上がります。
このように総合職から法人営業の経験を積む方法もおすすめです。
法人営業のキャリアパス
次に、法人営業のキャリアパスについてみていきます。
- 入社、新人
- 既存顧客営業
- 新規開拓営業
- 管理職
新人の時は研修等を通じて法人営業について学びます。
次に取り組むことは既存顧客営業です。
先輩の商談に同行し微妙なセールストークの使い方や顧客ニーズの見つけ方を実践を通じて学びます。
既存顧客営業を経験した後、経験する事は新規開拓営業です。
見込み顧客に対しアポイントを取り、商談から契約までの経験を積みます。
このように、既存顧客営業・新規開拓営業の経験を積んだのち法人営業の管理職になります。
チームメンバーをマネジメントしながらチームで営業成績を上げることが管理職の仕事です。
法人営業の最新動向
法人営業は企業と企業を繋ぐ重要な仕事を担います。
そうした法人営業の最新動向についてまとめます。
IT・ネット系企業の求人が増加
法人営業はIT・ネット系企業で求人が増加しています。
これはライフスタイルの変化によりリモートワークやEC販売が増加し、このようなサービスを提供している企業が成長しているためです。
今後もライフスタイルのデジタル化は進むことが予測されますので、IT・ネット系企業の法人営業の求人は好調であることが予想されます。
非対面での法人営業の増加
ライフスタイルの変化により、オフィスに出向いての対面営業ではなくリモートによる非対面の法人営業活動が増加しています。
そのため非対面であっても商談を成立させるコミュニケーション能力がより求められるようになりました。
今後はリモートでの営業に対応できるスキルを獲得する必要があります。
法人営業志望者におすすめの入門書
ここでは法人営業に関心がある人が最初に読むべき本を紹介します。
トップセールスが使いこなす! ‟基本にして最高の営業術″ 総まとめ 営業1年目の教科書
法人営業についてまったく知識がない人は、まずこの本を読むことをおすすめします。
ほとんどの学生が営業は未体験かと思いますので、営業に必要な身だしなみや話し方がまとめられた本書をまずは読んでみましょう。
入門書としておすすめです。
この1冊ですべてわかる 営業の基本
法人営業の基本について体系的にまとめてあり本書を学ぶことで営業のノウハウを学べます。
営業として押さえなければいけない原則が端的にまとめられている点もポイントです。
営業 野村證券伝説の営業マンの「仮説思考」とノウハウのすべて
法人営業についての理解が深まった人には上記の書籍をおすすめします。
この本で学べることは営業に必要な論理的思考力です。
法人営業で突出した成果を上げた人の具体的な方法を学ぶことで様々な発見があるでしょう。
まとめ
法人営業についてまとめてみました。
法人営業は誠実な人柄やコミュニケーションスキル等の実力があれば成功できる可能性がある職です。
社会人として必要なコミュニケーションスキルやスケジュール調整スキルを高めることもできます。
一方で常に成果を求められる職種であるので向上し続けるプロ意識が必要です。
法人営業は企業と企業を繋ぐ職種のため、どのような企業でも必要とされています。
職種研究の参考になれば幸いです。