【企業研究のやり方を5ステップで解説】そもそもなぜ行う?見るべきポイントや情報の入手先、シートも紹介
はじめに
就活では最終的に自分が就職する1社を決めないといけないですよね。
その会社で働いたことがないのに決めるのは非常に難しいことです。
企業研究をすることによって少しでも会社の雰囲気や将来性を把握し、今の時点でこの会社が一番入りたいと自信を持って言えるようにしましょう。
今回は企業研究のやり方について見ていきます。
なぜ企業研究をするのか
まずはなぜ企業研究をする必要があるのか、企業研究がどのように就職活動に役立つのかを考えましょう。
自分に合った会社かを調べるため
企業研究をする理由の1つ目は自分に合った会社を見極めるためです。
同じ業界の中でも会社の文化の違いがあり、全然異なる働き方になることがあります。
自己分析をすると自分の会社を選ぶ軸、いわゆる選社軸が固まってくるでしょう。
その選社軸にかなう会社であるのかを見ることで自分の求める条件を満たしている会社なのかを調べることができます。
安定している会社かを調べるため
どんなに有望な業界であっても業績の苦しい会社は目先の利益を上げるために無理をしがちです。
がむしゃらに頑張る経験自体は悪くないのですが、安定的に収益を出している会社の方が長期的な戦略を立て遂行しやすいでしょう。
せっかく社会人の一歩目を踏み出すわけですから目先の利益ばかりを追い求めるだけではもったいないですね。
より成功パターンを学ぶだめには安定した会社に入る方が好ましいでしょう。
企業研究によって会社の状態を見極められます。
志望理由を明確にするため
面接やエントリーシートでの王道の質問として志望理由というのがあります。
「なぜうちの会社なのか、なぜ競合他社ではないのか」と面接官が聞いてきますね。
この時の面接官の気持ちとしては本当に志望理由を聞きたいのではなく、本気度を知りたいのです。
本気で会社に入りたいのであれば当然質問されるであろう質問に対する回答を用意するものでしょう。
競合との違いを理解して自分の言葉で志望理由を話せるようにするには企業研究が大切ですね。
企業研究やり方5ステップ
では具体的に企業研究をどのようにやるのか見ていきましょう。
1.業界研究で大まかな方向性を確認しておく
企業研究に入る前にまずは業界研究をしておきましょう。
その企業の置かれている大まかなトレンドを理解していないと企業自体の分析ができませんね。
例えば、業界全体が成長しているのに対してその会社の業績が横ばいであるとします。
そのようなときには時流に乗り遅れて苦しんでいる背景があるかもしれません。
逆に市場は縮小しているのに業績を伸ばしている会社があればその市場を独占できる可能性があり、とても有望ですね。
まずは業界研究から始めましょう。業界研究のやり方については以下の記事を参考にしてください。
2.ヒト/モノ/カネをまとめる
企業はよくヒト/モノ/カネで成り立っていると言われます。
企業研究ではこのヒト/モノ/カネをしっかりと把握していくことでその企業ならではの特徴を理解していくようにしましょう。
次の章で具体的にどのようにヒト/モノ/カネを分析していくかを見ていきます。
3.他社と比較し特徴を抽出する
分析したい企業の特徴をより理解するためには他社との比較が有効です。
他社と何が違うのかを理解することによって、その企業が力を入れている分野や強み弱みを把握することができるようになるでしょう。
特に同業他社との比較は重要ですので必ず行ってください。
同じようなことをしているように見えても実際に働く環境は全然異なることがあります。
自分に合った会社を探すという意味でも他社比較は重要ですね。
4.その企業の特徴をサマリーする
企業を分析したうえで他社と比較し、特徴を抽出したら自分の言葉に置き換えるということが重要になります。
例えば、面接で一般的に言われているような評判の話をしても説得力がありませんね。
自分で分析をして自分なりの言葉で説明するからこそ「よく調べてきたな」と思われるのです。
申し上げた通り面接官は志望理由を知りたいのではなく本気度を知りたいわけですね。
簡単に調べられる一般的な言葉でなく、深く調べた自分なりの洞察を伝える方が相手に志望度を訴えやすくなります。
5.自己分析の結果と照らし合わせる
最後は自己分析の結果としっかり照らし合わせてみるようにしましょう。
企業研究の目的の1つは自分に合った会社かどうかを調べるためでした。
企業研究をして終わりではなく、自己分析から導き出した選社軸に対してどれだけふさわしい会社なのかを見るようにしましょう。
合致度が高いほど受けるべき会社と言えるでしょうし、志望理由もしっかりとしたものにできますよね。
自己分析との突合をしないと企業研究をやる意味が半減してしまうので、やりっぱなしにならないように注意してください。
企業研究で見るべきポイント
企業研究で見るべきポイントはヒト/モノ/カネであるという話をしました。
しかし、どのようにヒト/モノ/カネを見ればいいかよくわからないですよね。
ここからは企業研究をする際の分析のポイントを見ていきましょう。
そして学生の方にとっては同様に選考にかかる情報も重要です。ヒト/モノ/カネ/選考情報をまとめていきましょう。
ヒト
まずは最も重要であるヒトの分析をどのように行うのかということから見ていきましょう。
ミッション/ビジョン/バリュー
最も大切な分析ポイントはミッション/ビジョン/バリューです。
- 会社がどうありたいか
- 何をするために存在しているのか
- そのためにどう行動するべきなのか
以上の点について明文化したガイドラインですね。
企業理念や行動指針という言葉でも表されます。採用スローガンとは異なりますので注意してください。
企業理念などはそれぞれの企業によって大きく異なるところです。
一語一句なぜこの言葉を使用したのかと深く考えてみてください。
平均勤続年数
平均勤続年数・会社の社歴・採用スタイルを一緒に考えましょう。
例えば社歴が長く、新卒採用をメインとしているのに平均勤続年数が短い会社があったとします。
考えられるのは「新卒で採用された人が多く辞めていく会社」ということですよね。
平均年齢40歳・平均勤続年数17年のような会社があると大卒で採用をして、そのまま会社に居続ける人が多いのだなと推測できます。
どれくらいの離職率なのか、新卒メインなのか中途メインなのかなど様々なことがわかりますね。
平均給与水準
給与水準は平均年齢と一緒に見ていきましょう。
平均年齢30歳で平均年収500万円の会社と、平均年齢45歳で平均年収500万円の会社では全然意味が変わりますよね。
同じ業界内で年収が大きく異なる場合、もちろん年収のいい会社に優秀な人材が集まりやすいです。
そのため、人材の充実度を図る指標として年収を見るといいでしょう。
会社で働くことの満足度
いくつかの企業の口コミサイトを参照すると、元従業員や現役の従業員が会社で働くことの満足度を数値化してくれています。
同じ業界内でも満足度が大きく異なることがわかるでしょう。
例えば、学生から人気の東京海上日動火災保険という会社があります。
競合である他の損害保険会社に比べると突出してその会社で働くことの満足度が高いのです。
このように他社との比較で見てその会社が働きやすいのかどうかを知ることができます。
社風、文化の口コミ
企業の口コミサイトには元社員や現役社員によってその企業の社風や文化に関することが書かれています。
もちろんインターンシップに参加して実際にその企業の文化を知るということも重要です。
様々なところから情報を入手するようにしましょう。
モノ
次に企業が作るモノやサービスにかかる分析をどのようにしていくかを考えましょう。
作っているもの、サービスの特徴は何か
一番わかりやすいのは実際にその企業がどのようなモノやサービスを提供しているかを見ていくことです。
ホームページや説明会でのパンフレットなどにも書かれていますよね。
製品のどこが特徴なのか、なぜお客さまに支持されるのかなどを考えてみるようにしましょう。
仕入先がどこか、販売先は誰か
特に企業間で取引をしているような企業の場合は商流が見えづらいことが多くあります。
その会社が誰からモノを仕入れ、誰に販売しているのかを理解するようにしましょう。
そうすることでその業界がどのような業界と密接に関わるのかがわかるようになります。
これから伸びる市場か縮む市場か
どのようなモノを製作しているかがわかったらそのモノやサービスが今後需要が増えるのか減るのかを調べていきます。
インターネットで検索してもいいですし、本屋に並んでいる業界地図のようなものを購入してもいいでしょう。
伸びるモノやサービスを取り扱っている方が経営が安定しやすいですね。
その会社の強みや弱みはどこか
モノやサービスの特徴を捉えたらそれを競合他社と比較をしてみましょう。
そしてそのモノの優位性を作っているのは何かを考えるようにします。
たいていの場合は経営理念や企業文化とモノの特徴が密接に結びつくものです。
モノやサービスはその会社の子供のようなものでしょう。他社との違いを理解できるようにしてみてください。
代替可能性のあるものや新規参入はないか
最後は補足的な情報になります。
モノやサービスを代替するような新しいモノやサービスがないか、または新規参入によって企業が負けてしまわないかを考えてみましょう。
インターネットの普及で「情報を入手する」という意味での新聞の価値は減少し、広告収入も大きく下がっています。
大きくビジネスを変えてしまう代替可能性のあるものや新規参入の脅威を把握したうえでもその企業を志望していると言えると説得力が増すでしょう。
カネ
ヒト・モノに続いてカネも見ていきましょう。
ただ、カネの見方はテクニカルですのであまり深く見る必要はありません。
売上高は過去5年どう推移しているか
まず企業の売上が過去にどう推移してきているかを見るようにしましょう。
右肩下がりになっているようだとちょっと心配ですよね。
例えば、映画業界などはヒット作のあるなしで大きく業績が変わります。
しかし、スーパーマーケットを運営するような会社は必需品なので安定してくるのです。
このような業界毎の特徴も踏まえてあげるとより良い分析ができるでしょう。
営業利益は過去5年どう推移しているか
売上と同様に大切なのが営業利益です。
営業利益はどれだけ会社が稼ぐ力があるかを示したもので、これが将来の投資の源泉になります。
継続的に良い会社であるためには健全な利益が必要なのですね。
稼げている会社かどうかは意識するようにしましょう。
(上場企業であれば)株価のTOPIXとの比較
上場企業であれば株価を見るといいでしょう。
株式市場全体の動きを示すTOPIXという指標に対して上回っているなら評価されている、下回っていたら評価されていないと見ることができます。
その会社自体の力というよりは、その会社が投資家からどう見られているのかを見るための指標ですね。
選考情報
最後に選考情報をどのようにまとめるかについて見ていきましょう。
インターンのあり/なし
まず見るべきはインターンシップを行っているかどうかです。
インターンシップが実質選考になっているような会社もありますし、インターンシップから選考が進んでいくという会社もあります。
気になる会社のインターンシップの情報は漏れないようにしましょう。
選考の流れ
選考の流れを理解しておくことも重要です。
特に時期については気を付けましょう。
エントリーシートの提出のタイミングやいつ内定出しになるのかなど企業によってバラバラです。
生きた先輩たちの情報を貰いつつ、企業のホームページなどでしっかり確認するようにしましょう。
選考で気を付けるポイント
選考で何を聞かれるかや選考で重視されるポイントを考えておきましょう。
ほとんどは企業研究の「ヒト」で見たときに求める人物像などは明確になるかと思います。
経営理念と採用ホームページに記載されている内容が整合していることを確認しておきましょう。
テスト関連の情報
つまづくと非常にもったいないのがこのテストです。
SPIやGABなどはある程度対策をしておけば得点の取れるものでもあります。
どのようなテストがいつ必要になるのかを理解し、計画的に準備できるようにしましょう。
どこから企業の情報を入手するか
次に企業研究に必要な情報をどこから入手をするのかについて触れておきます。
マイナビ/リクナビなどの就職サイト
まずはリクナビやマイナビなどの就職サイトです。
この企業毎のページに求める人物像や売上高、年毎の採用数や離職率などが掲載されています。
最低限就職サイトの企業ページは確認するようにしてください。
企業の株主向け説明資料/アニュアルレポート
上場企業や大企業であれば株主向け説明資料やアニュアルレポートというものをまとめて公表しています。
企業のホームページの「投資家の皆さまへ」や「IR」のようなタブがあればそちらから確認できるでしょう。
自分たちのやりたいことや存在意義、足元の状況をまとめてくれていますので企業を理解するのにとても役立ちます。
帝国データバンク
帝国データバンクでは企業の情報を取得することができます。
通常売上や利益はあまり公表しないのですが帝国データバンクではそのような情報を持っているのです。
有料にはなりますが、ワンコインくらいで情報を入手できますので本当に気になる会社であれば取得してもいいでしょう。
ただ、会社によって帝国データバンクにどのような情報を提供しているかはまちまちです。
求めている情報が手に入らない可能性があるということに注意してください。
OpenWorkやカイシャの評判などの企業口コミサイト
OpenWorkやカイシャの評判にはその会社を辞めた人や現役で働いている人の声がたくさん詰まっています。
実際に働いた人が会社の文化や働いた感想を記載してくれているので参考になるでしょう。
会員登録が必要ですが無料で使用できますので重宝します。
ワンキャリアやみんなの就職活動日記
ワンキャリアやみんなの就職活動日記には選考に関する情報が多く掲載されています。
先輩のエントリーシートや面接で聞かれたことなどは選考情報を整理するのにとても役立つでしょう。
こちらも無料で使用できますので活用していくことがおすすめです。
企業研究のフレームワーク
様々な情報を仕入れたのちに、実際にどのように分析をしていくかについても見ておきましょう。
3C分析
3C分析は企業の現在の状態を分析するのに適した分析手法です。
Company(自社)・Customer(顧客)・Competitor(競合)を見ることによってその企業に関連する情報を整理することができます。
比較的使いやすいフレームワークですので活用することがおすすめです。
SWOT分析
SWOT分析はその企業の強み・弱みと機会・脅威をまとめることによってその企業の将来の方向性を考えることに適した分析手法です。
面接やエントリーシートでその会社に入って何をしたいかという話をすることが多いでしょう。
その際に企業の求めていく方向性と自身のやりたいことが一緒だとわかりやすい志望理由になります。
5Force分析
5Force分析は企業に大きな影響を及ぼす5つの力をまとめていくものです。
市場内競争・仕入先・販売先・新規参入・代替可能性の5つを見ることで企業が何に注意をしないといけないかがわかりやすくなります。
インターンシップやOB/OB訪問で何を質問しようか整理するのに役立つでしょう。
企業研究シートのまとめ方
参考までに、企業研究をどのようにまとめていくかのテンプレートとなる企業シートを以下に掲示しておきます。
それぞれ「ファイル」メニューから「コピーを作成」を押してぜひ活用してみてください。
企業研究シート
まずは一つの企業を深堀する際に必要な情報をまとめる企業研究シートです。
ここまで見てきたポイントをまとめたものになります。
競合比較シート
次に競合や他企業との違いをまとめるための比較シートです。
違いを明確に記載できるようにしましょう。
企業研究を行う際の注意点
企業研究をする際の注意点について見ておきましょう。
目的を見失わない
企業研究をしているとそれ自体が大変な作業であるがゆえに当初の目的を見失いがちです。
企業研究自体を完成させて満足してしまわないように気を付けましょう。
あくまで自己分析との突合をし、自分に合った会社を探すことや志望理由を明確にすることが目的です。
企業間の差異に注目する
1つの企業をいくら深堀りしようとしても1つの企業だけ見ていくことには限界があります。
他の企業との比較などをしない限りは差がわかりません。
大変ではありますが他企業の分析もすることで意中の企業の分析も深まると覚悟して臨みましょう。
インターンシップやOB/OG訪問で生きた情報を手にする
できる限りインターンシップやOB/OG訪問をして生きた情報を手に入れましょう。
自分で分析をしていてもわからないことが多く出てきます。
不明点をわからないままにしておくのではなく、実際に企業の人に聞くなどして解決しておくといいでしょう。
まとめ
企業研究のやり方について見てきました。
企業研究をやったことがあるという人はほとんどいないのではないでしょうか。
就職活動においてこの企業研究は避けては通れないものとなっています。
だからこそ他の就活生と差をつけやすいものでもあるでしょう。
是非自分なりの解釈ができるよう頑張ってください。
シューブンでは企業研究に関する記事を多く掲載していますので、こちらも参考にしてください。
それでは企業研究頑張ってくださいね。