【回路設計の仕事内容を解説】なり方や必要なスキル、向いている人とは?1日の流れからやりがい、平均年収まで徹底紹介
はじめに
回路設計という職業をご存知でしょうか。
どのような職業なのかきちんと理解している方は多くないでしょう。
そんな方に向けてこちらの記事では、回路設計の仕事内容・平均年収・1日の流れなどについて解説していきます。
事前に調べておくと「思っていた仕事と違う」といったミスマッチを防げるはずです。
回路設計についてイメージが掴めない方はぜひ最後まで読んでみてください。
回路設計とは
私たちの生活にスマートフォンや家電製品などの電子機器は欠かせません。
そんな機器・機械を動かすために回路設計は欠かせない存在です。
こちらでは回路設計の仕事内容・やりがい・平均年収、回路設計の仕事をする上での苦労について紹介していきます。
回路設計は何をする?
大まかな流れとして最初にどのような商品を作るのか仕様書を見て確認します。
そこから適正な人材の配置を行いますが、納期までに終わらせることも忘れてはいけません。
プログラミングを使ってレイアウトを作成し、シミュレーターで動作に問題ないことを確認します。
問題なければ試作品を作っていき完成後、設計者からいただいた対応箇所を修正しなければいけません。
そして再度完成すれば、あとは量産化して店頭に販売されていきます。
回路設計のやりがい
回路設計者としてのやりがいは大きく分けて以下の2点があります。
- 自分が関わった製品が世の中で活躍したとき
- 困難を仲間と乗り越えたとき
それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。
自分が関わった製品が世の中で活躍したとき
自分が開発に携わった商品が世に出て活躍しているのを見ると、「頑張ってよかった」と思えます。
機械を動かすためには、設計した電子回路を組み込まなければいけません。
人間の身体で例えるなら回路設計は、心臓・脳にあたるほど重要な部分でしょう。
そんな責任感のある回路設計に自分も関われていると実感したとき、言葉にできない充実感を味わえます。
困難を仲間と乗り越えたとき
設計が完成して、一緒に頑張ってきた仲間と喜びを分かち合えた瞬間にやりがいを感じます。
回路設計の仕事は、決して自分一人だけの力で成し遂げられるわけではありません。
同じ志を持っているプロジェクトメンバーの存在がなければ、設計を完成させることはできないです。
そんな仲間とともに困難を乗り越えてゴールできた達成感は、経験した人にしか分からないでしょう。
回路設計の苦労
回路設計の仕事ならではの苦労はどういったところにあるのでしょうか。
2つに分けて紹介します。
納期に追われる
回路設計は自分のペースで作業ができるわけではなく、決められた納期までに仕上げないといけません。
しかし、途中で問題が発生したり再設計をしたりすると予定通りに仕事が進まなくなります。
締め切り直前になると納期に追われている中で仕事をしなければいけないため大変に感じるでしょう。
背負う責任が大きい
業務の重要性が高いため、絶対にミスできないプレッシャーを感じて設計に向き合わなければいけません。
製品の生産後に誤作動が見つかると発注先・会社のどちらにも迷惑をかけてしまいます。
回路設計者は責任・不安と向き合うことが求められるので、苦労することが多々あるでしょう。
回路設計の平均年収
回路設計者の全体平均年収は502万円です。
日本の平均年収が436万円なので高水準と言えるでしょう。
さらに細かく見ていくと20代の平均年収は397万円ですが、30代になると563万円と一気に上がります。
回路設計は経験によってできることが大きく変わるので積み重ねてきたスキルが重要です。
回路設計1日の流れ
回路設計者の1日の流れは忙しさや日によって異なりますが、基本的にミーティング・設計作業などを中心に業務を行う企業が多いです。
開発初期では資料作成やクライアントとの打ち合わせを、完成間近になると試作品を使って動作確認をする機会が増えます。
また、企業によっては出勤・退勤時間を自由に調整できる「フレックスタイム制度」を採用しているので、時間を上手に使いましょう。
どんな人が向いてる?
回路設計の仕事が向いている人の特徴は以下の3点です。
- 細かい作業が得意
- コミュニケーション能力が高い
- 論理的思考を持っている
それぞれの理由や特徴について細かく見ていきましょう。
細かい作業が得意
細かい作業を丁寧に行うことが苦痛に感じない人は回路設計の適性が高いです。
設計図の作成をはじめ、小さな部品を触ることが多々あります。
よってミリ単位の誤差でも許されません。
製品の大小に関係なく言えることですが、性格が大雑把な人はあまり向いていないと言えます。
コミュニケーション能力が高い
回路設計者として仕事をするにあたり、プロジェクトメンバーとコミュニケーションを取ることは必須となります。
一人で黙々と作業するだけでなく、同じチームのメンバーや他部署の人と連携をとる機会は多いです。
その際にコミュニケーションを円滑に行えると進捗の管理もしやすくなるでしょう。
さらに自分が持っていなかった考えを吸収できるので、より良い商品開発にも繋がります。
論理的な考えを持っている
完成までの道のりを論理的に計画できる考えが必要です。
全体像をしっかりと把握し、そこから細分化した作業をどの順番で行うかを考えなければいけません。
納期に追われると慌てて正確性が落ちるのでミスが増えてしまう可能性も出てくるでしょう。
そうならないように作業の順番・人員の配置などについて、最も正確かつ短時間ですむ方法を考えなければいけません。
また、トラブルが発生してしまったときの対処法も考えておけるとベストです。
回路設計で求められるスキル・資格・マインド
回路設計者になるためにはどのようなスキルや資格が必要でしょうか。
求められているスキルや資格が必要ないと、仕事が限られてしまったり採用されなかったりすることがあります。
希望の企業が何を必要としているのかをしっかりと確認しておきましょう。
以下では必要なスキルやおすすめの資格、さらに活躍するためのマインドをお伝えしていきます。
スキル
回路設計に必要なスキルは主に2つあります。
1つは電気・電子など理系分野の知識についてです。
回路設計をするためには、電気信号の動き・仕組みを知っておかなければいけません。
最初から深い知識を持っていなくても大丈夫ですが、基礎の部分については文系理系問わず理解しておきましょう。
またもう1つ、プログラミングができると重宝されます。
勉強しておくと良い言語はC言語・C++などです。
作業のスピードアップやメモリ使用の効率化に活かせます。
そして、ある程度勉強をしたらWi-Fi・Bluetoothなど身近な無線通信を搭載しているIoT機器を作ってみましょう。
実際に何か作ったことがあれば立派なアピール材料となります。
資格
こちらでは回路設計の仕事をするにあたり、持っておくべき資格について紹介しています。
マストとなる3種類の資格を細かく解説していくので確認していきましょう。
EMC設計技術者資格
電気機器や電子回路、さらにプリント基板を設計する技術者用向けの資格です。
EMCは日本語で電磁両立性と言い、制作した機器が他の電子機器に妨害を与えていないかを判断します。
EMC設計技術者資格の受験条件は「学士以上または本分野実務経験5年以上」という制限のみです。
新人ではほとんど持っていない資格なので差をつけられるチャンスとなるでしょう。
品質管理検定
品質管理検定(QC検定)とは、その名の通り品質管理についてどの程度理解しているか評価する民間の検定試験です。
プロセス管理・問題解決・データの集め方などを問われるため、回路設計では円滑な作業をするために役立ちます。
また品質管理検定にはレベルごとに1~4級で分かれているので、どの級を受験するかは以下を参考としてください。
4級:品質管理についての基本(新入社員・学生など)
3級:品質管理・改善などを支援ありで実施できる(全社員・学生など)
2級:統計学を活かした品質問題の解決・改善(マネージャー・リーダーなど)
1級:豊富な知識を用いて問題解決に向き合う(管理者・責任者など)
2級・1級に合格していると現場経験がなくても、履歴書でアピールできるでしょう。
基本情報技術者
こちらの資格を持っていると、情報処理に関する知識があることをアピールできます。
勉強時間についてはあくまで目安ですが、初めて学習する方であれば約200時間以上は必要です。
情報系の問題が幅広く出題されるため、長期計画でコツコツとやっていくことが最も効率の良い方法でしょう。
「基本情報技術者試験」はIT業界で働くにあたり入門的な資格なので、早めに取得しておくことをおすすめします。
マインド
回路設計に必要なマインドは主に以下の2つが挙げられます。
自分で考えてみる
悩んだり行き詰ったりしたときには、まず自分だけで考えてみることが大事です。
もちろん、上司・同僚などに助言を求めることは悪くありません。
自分の考えを「どうですか?」と提案するようにしましょう。
問題を丸投げしているだけでは、今後の自分にとって成長に繋がりません。
初めは自分で考えてみてそれでも分からなければ、仲間にアドバイスを求めるようにすると良いです。
停滞しないようにする
失敗を恐れて行動しないと何も変わることはできません。
進化(進歩)できるのが一番いい結果ですが、最もいけないのは停滞してしまうことです。
退化は実際に行動した結果なので、今後同じことをするときに活かせます。
しかし頭の中で考えるだけで行動しなければ、どうなるのかも分からないため成長に繋げられません。
成功よりも失敗する方が多い回路設計なら特にですが、「まずはやってみる」といった積極的な心持ちが大事となります。
回路設計のキャリア
以下では、回路設計者になるために内定をもらうにはどうすればいいのかをお伝えしていきます。
さらに働き始めてからのキャリアパスについても見ていきましょう。
回路設計になるには?
回路設計者になるには大きく分けて2つの方法があります。
- 大学・専門学校でスキルを身につける
- 新卒・未経験で内定を貰う
内定を貰いやすいのは、大学・専門学校でスキルを身につける方法です。
回路設計は高度なスキル・専門知識が求められるので、基礎知識が身についている人材は需要が高くなります。
企業からすると、即戦力の人材なら研修の手間がかなり省けるため、内定を貰いやすいでしょう。
一方で新卒・未経験で内定を貰う方法については、前者と比較すると内定をもらえる可能性は低くなります。
しかし、近年は回路設計者が減っていることもあり、未経験でも募集している企業は多いです。
独学でもプログラミングのスキルを身につける、資格を取得するなどアピールできる材料が増えると内定を貰いやすくなるでしょう。
回路設計のキャリアパス
回路設計者になると転職しない限り、上図のようなキャリアパスを経ていくことがほとんどです。
最初は研修の一環で先輩と伴に行動して経験を積んでいきます。
ここではまだ一人前の設計者を目指している段階です。
そして研修が終了したタイミングで、初めて一人前の回路設計者として認められます。
設計者としての実力とコミュニケーション能力が高いと評価された場合、新人の教育も任されることもよくあることです。
物事を分かりやすく伝える力がつくので、次のステップアップに必要な人材育成のスキルを吸収できるでしょう。
さらに優秀な社員と認められれば、多くの企業ではスペシャリスト職・管理職のどちらかに就きます。
スペシャリスト系は主に設計・製品の開発など現場での責任者となり、自分の思想を基に設計を組めるケースも増えてくるでしょう。
また、管理職になるとプロジェクトマネージャーや経営戦略のリーダーなど、社運を左右する重大な職務も担当することができるようになります。
回路設計の最新動向
アナログ回路設計者が毎年減っているため、若い世代の働き手が現在よりも求められるでしょう。
そもそも回路設計には、アナログ回路とデジタル回路の2種類あります。
アナログ回路はデジタル回路と違って、長年の経験から培った感覚・勘が必要です。
一方、デジタル回路は設計が簡単なので、若い世代から人気があります。
アナログ回路の中にデジタル回路が含まれているといったイメージです。
車で例えるならMT車がアナログ回路、AT車がデジタル回路と捉えてもらっても良いでしょう。
今後はデジタル回路だけでなく、アナログ回路も触れる人が重宝されます。
回路設計におすすめの本
書店・図書館などに出向いても冊数が多いため、どの本を参考にすればいいのか分からなくなってしまうでしょう。
そんな方に向けて、こちらではおすすめの3冊を紹介しています。
改訂新版 図解でわかる はじめての電子回路
これから回路設計の勉強を始めようとしている方にとって、ぜひ読んでおきたい一冊です。
電子回路の原理やトランジスタの基本など、基礎中の基礎の部分について触れられています。
練習問題も記載されているため、復習を兼ねて見直す使い方をしてみるのも良いでしょう。
図解入門 現場で役立つ電源回路の基本と仕組み
回路設計に必要な電気・電子の基本知識を理解できる書籍です。
他にも実用的な回路設計や電源供給の安定性など、図解で分かりやすく解説されているので実際に回路設計をしながら理解を深められます。
応用的な部分についても解説しているため、より実践的な知識を取り入れられるでしょう。
FPGAの原理と構成
近年新たに注目されている、FPGAの原理について解説されています。
FPGAとは、ビッグデータの処理や通信機器の利用などに使用するICの一種です。
本書ではFPGAの歴史やCPU・LSIなどの違いや高度な最先端技術についても書かれているので、深い知識を得られるでしょう。
初心者から実際にFPGAを使用している技術者まで役に立つ一冊です。
まとめ
本記事では回路設計の職種研究を行ってきました。
内定をもらうために専門的な知識が必要ですが、重要なのは自分は何ができるかをアピールすることです。
また、全ての業務内容を一人で行うわけではないのでコミュニケーション能力も磨いておきましょう。
本サイトでは、回路設計以外にも様々な職種研究について解説しているので、ぜひ参考にしてください。
理想の企業に入社するためにこの記事を参考としていただけると幸いです。