【航空業界:図解で3分解説】今後の動向は?仕事内容や向いている学生、企業ランキングも紹介
はじめに
「航空業界には華やかなイメージがあったけれどコロナ禍でどうなったのだろう?」「これから航空業界はどうなっていくのだろう?」と日々考えながら就職活動をしている方も多いのではないでしょうか。
もはや飛行機が飛ばない日など考えられないほど、私たちの交通を支えている航空業界ですが、ひとくちに「航空関係の仕事」といってもさまざまな職種があり、たくさんの企業が存在していることをご存知ですか?
こちらの記事では、航空業界の概要や今後の動向予測、そして具体的な職種や仕事の内容をご紹介します。
また、航空業界に向いている学生の特徴も解説していきますので、航空業界に興味を持ったあなたはぜひ最後まで読んでみてください。
もしこの業界に強い興味を持っていなくとも、この記事をきっかけに航空業界について知っていただければと思います。また、その延長線上で航空業界をぜひ一つの選択肢に入れていただければと思います。
業界研究をする前に
航空業界の解説を始める前に、そもそもなぜ今あなたが業界研究をしているのか考えてみましょう。
「とりあえず周囲から業界研究をしたほうが良いと言われたから」という動機では、本当に自分のためになる業界研究はできません。
本来、業界研究は自己分析とセットになるものであり、どちらかが欠けてしまうとあまり意味のないものになってしまいます。
まずは自己分析を通して方針を決め、数多くの業界の中から自分に最適な業界や企業を選んでいくのがベストです。
自分がしたいことや性格、強みや弱みをしっかりと知り、その上でどのような仕事に就くか決める際に業界研究を行うイメージです。
そうしたすり合わせを行うことで、入社後のミスマッチを防ぐことができます。
そのため、ぜひこの記事を読む際にも自己分析の結果と照らし合わせながら、自分がこの先進んでいきたいと思える道がそこにあるのか考えてみてください。
基本的な業界研究のやり方やその際に心がけるべきポイントは以下の記事を参考にしてみてください。
それでは、業界研究を行う意味をはっきりさせたところで、航空業界について深く知っていきましょう。
航空業界とは
そもそも、航空業界というのはどのようなものなのか正確に把握できていますか?
飛行機を目に触れる機会や実際に乗る機会はたくさんあるので馴染みのある業界だとは思いますが、実際に業界としてみると案外仕事の幅は広いものです。
まずは業界の大枠を捉えることができるよう、航空業界の概要や企業ごとの売上高ランキング、そして就活生として覚えておくべ業界の基礎知識を解説します。
航空業界の概要
航空業界、特に航空会社と聞くとどれも同じに見えてしまうという方もいるのではないでしょうか。
しかし、航空業界は大きく分けて3つのタイプの企業に分類されます。
それぞれの立ち位置や役割、代表的な企業を挙げているので、ぜひ頭に入れておいてください。
1. メガキャリア
航空会社とは旅客機や貨物機を運行することで収益を得ている企業のことですが、特に日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)の2社のことをメガキャリアと呼びます。
古くから経営を続けてきたこの2社は日本全国や海外での就航路線を多数持っていることを強みとしています。
地方空港の場合、メガキャリア便の運行しかないというケースも珍しくありません。
そして航空会社の中にはメガキャリアの傘下に入って経営を行っている企業もあります。
このようにして多数の路線や機材設備を持つことで、広い範囲の旅客をカバーしているのです。
メガキャリアはフルサービスキャリアやレガシーキャリアとも呼ばれます。
2. LCC(ローコストキャリア)
LCCとは、低い運賃での旅客輸送に特化した航空会社のことです。
一人あたりの売上高は少ないですが、人気路線に絞って運行したり空港使用料を抑えて経費を削減したりすることで収益を確保しています。
代表的な企業としてはピーチ・アビエーションやジェットスター航空などが挙げられます。
3.関連企業(子会社)
各航空会社は空港カウンターのスタッフなどを子会社を通して採用しています。
そのため、JALスカイやANAエアポートサービスといった関連子会社も多数航空業界に関わっています。
航空業界の基礎知識
ここでは、航空業界を志すのであれば知っておくべき基本的な事項を2つご紹介します。
単純に知識の引き出しとして持っておいて損はない内容なので、覚えておくとよいでしょう。
航空業界のビジネスモデル
航空会社は飛行機で人やモノを運ぶ「航空輸送事業」での収益が8割以上を占めています。
では、残りの部分はどういった事業で売上を生み出しているのでしょうか。
以下は航空会社が行っている航空運輸事業以外(非航空輸送事業)の事業の一例です。
- 航空機の整備
- 観光事業
- 小売事業
- クレジットカード事業
- 商社
もしかしたら少し意外な役割を担っていることもあるかもしれません。
気になった航空会社の情報は隅々まで見ておくことをおすすめします。
航空業界の特殊な構造
先ほど航空業界には大きく分けて二つのタイプの企業があるとご説明しましたが、このような業界構造は少し特殊です。
他の業界であれば多大なシェアを誇る企業があったとしても、業界全体の企業数は非常に多くなります。
それに対して航空業界における企業の数は少なく、それでいてシェア争いは激しいものとなっています。
これは経営をはじめるにあたって航空機を導入する必要があり、新規企業の参入障壁が非常に高い業界であるためです。また、航空需要は路線ごとにある程度決まっているので、乗客を奪い合う形になります。
航空業界の売上高ランキング
続いて、航空業界の売上高ランキングです。
上の図を見ていただければ分かる通り、メガキャリア2社が断トツで1位と2位です。
3位からはLCCが名を連ねます。
また、シェアを見てみると、次のようになります。
全日本空輸と日本航空の2強状態です。
この2社のみで全体の9割以上ものシェアを確保しています。
全国に多くの路線を持ち、幅広い範囲の需要を満たすことができているからこそ、このシェア率を誇ることができます。
そしてこのシェアが示すように、航空業界にとってこの2社の存在は多大なものです。
これらのキャリアの傘下の航空会社はもちろん、続くLCCの経営方針もトップを走る2社の影響を大きく受けて決まります。
航空業界の現状と今後の動向
入社後、長いスパンで働いていくことを考えると、現在の状況やこの先業界がどうなっていくのかは非常に重要です。
特に昨今の新型コロナウイルスの影響で旅客需要が大幅に減少した今、航空業界はどのような状況にあるのか知っておかなければなりません。
ここからは航空業界の現状とこれからの動向予測をお伝えします。
航空業界の現状
新型コロナウイルスが流行するより前、航空業界は勢いよく発展している業界の一つでした。
業界全体が急成長を遂げていた主な要因は以下の通りです。
- LCCの台頭
- インバウンド需要の増加
- 物流の活発化
つまり、「モノや人の動きが活発になったから」ということですね。
しかし昨今の状況で、業界全体には暗雲が立ち込めています。
特に人の移動が制限されている分、旅客需要の低迷と売上減が著しいです。
今後の動向
現在の航空業界は厳しい状況に置かれてますが、全世界的にウイルス感染の心配がなくなると、再び人やモノの動きが活発化すると見込まれています。
旅行客やビジネス客の需要が増え、売上はコロナ以前よりも拡大すると予想されます。
1. 旅客需要の増加
現在世界的に移動が制限されていますが、それが和らぐと旅行やビジネス目的で飛行機に乗る人が増えると考えられます。
また、ECの発達などにより貨物の空輸もいま以上に需要が高まることでしょう。
長期的に見ると、再び立ち上がることができるポテンシャルは十分あります。
2. 非航空事業の拡大
現時点でも売上の一部は非航空事業に支えられていますが、今後は旅客需要の拡大とともに非航空事業もステップアップしていくとみられます。
航空会社だからといって空にこだわり過ぎないことで、今後不測の事態に陥っても立ち上がることができるでしょう。
3. 国内の就航路線の見直し
売上を伸ばすことはもちろん重要ですが、それと同じく経費を削減することも大切です。
特に航空機を運行するとかなりの額の経費がかかるため、各社経費の削減に努める動きは以前からありました。
ただ、日本では今後さらに少子高齢化や地方の過疎化が進むことが予測されます。
路線の存続についての見直しは、業界全体の課題となるでしょう。
航空業界の仕事内容
入社してから「こんなはずじゃなかった」と思うことがないように、事前に業務内容を知っておくことは非常に大切です。
ここでは航空会社の主な職種を6つご紹介します。
同じ企業内でもそれぞれで枠を分けて採用していることが多いので、自分のしたい仕事がどの職種のものに当たるのか見極めてみてください。
1. パイロット
飛行機の運行を行う乗務職です。
国内線、国際線の両方を担当する必要があります。
LCCの場合には既に運行資格を持ったパイロットを採用することが多いですが、メガキャリア2社では未経験の新卒学生を自社のパイロットとして養成するコースを設けています。
2. 客室乗務員(CA)
機内でお客様に対してサービスを行う職種です。
飲み物や機内食の提供や客室の安全管理業務など、業務範囲は多岐にわたります。
お客様の目に触れる機会も多く憧れの的になるため、毎年非常に人気の高い職種となっています。
3.事務系地上職
航空機を安全に運行するための管理業務に加え、広報や営業、採用など一般的な事務系総合職のイメージに近い業務を行います。
将来管理職となることが想定される職種です。
事務系総合職として入社した場合、事務系地上職として働く可能性が高いです。
4. 技術系地上職
航空機の安全に直結するような技術面の中核を担う職種です。
ひとくちに技術系といっても整備計画の策定や部品の管理、運行計画の見直しなどその業務は多岐にわたります。
ITに関する職種は更に別で用意されていることもあります。
5. グランドスタッフ
空港でのカウンター業務を主に行う職種です。
搭乗客のチェックインや手荷物に関する手続きを行います。
6. 整備士
その名の通り航空機の整備を行う職種です。
航空機が安全に飛行するために、たくさんのチェック項目をもれなく点検・整備します。
最先端の機器を正しく整備するために、整備を学ぶことも重要な業務のひとつです。
航空業界に向いている学生
最後に、航空業界に向いている学生の特徴を挙げます。
次の3つの特徴に当てはまるものがあれば、航空業界で働く素養はあるかもしれません。
- 誰かのために働くのが好き
- 飛行機が好き
- 変化する状況下でも柔軟に対応できる
航空業界のほとんどの仕事は航空機の運行に関わっています。
お客様の目的地までの移動をサポートし、笑顔を作り出す仕事がたくさんあります。
そのため、サービス精神旺盛な方がそうした職に向いているといえます。
また、純粋に飛行機が好きであることも大切です。
毎日何かしらの形で飛行機を目にすることになるので、飛行機が好きという気持ちは大切です。
そして、目まぐるしく移り変わる状況の中で、自分なりに考えて臨機応変な対応ができる人は航空業界に向いています。
特に乗客の需要が売上に直結する業界なので、柔軟性を持った人は重宝されます。
まとめ
「メガキャリア」と「LCC」に大別される航空業界。
その中にもたくさんの職種があります。
コロナ禍における状況は厳しいものとなっていますが、ここを乗り切ると再び需要が拡大することが予測されます。
今回の記事を読んで航空業界に興味を持ったのであれば、ぜひ就職先の候補に入れてみてください。
ちなみに本サイトでは、航空業界以外にも様々な業界について解説しています。
今興味がない業界も、しっかりと知っていくうちに次第に魅力に気づくことができるかもしれません。
ぜひ視野を広く持ち、業界研究を進めてみてください。
ここまでお読みいただきありがとうございました!